前回は操作性を基準にドラポジを考えてみました。
今回はそこに安全性を加えて考えてみましょう。

操作性も安全性
さて、安全性を絡めて考えるとかきましたが、実は操作性も大切な安全性なんですね。
アクティブセーフティなんて言う言い方をしますが、事故を未然に回避する能力も大切です。
ハンドルを切れば避けられた事故、ブレーキをしっかり踏めていれば避けられていた事故なんていうのもたくさんあります。
ですから、安全性を考えればまずは操作性を確保することが大切なんです。
安全性と操作性のバランスが大切
操作性を確保することは安全性に繋がることは書きました。
しかし、実際には操作性を優先しすぎると安全性が犠牲になる場合もあります。
何事もバランスが大切です。
操作性を確保しつつも安全性も確保できるドラポジこそが大切なんですね。
安全性を意識したドラポジ
ハンドルとの距離は30cm以上
今のクルマには必ずエアバッグが装備されています。
エアバッグは事故の際に助けてくれる安全装備ですが、状況によっては凶器になります。
エアバッグはその名の通り、空気で袋を膨らませて衝撃を吸収する安全装置です。
事故の際には火薬を使って一瞬で膨らませるようになっています。
火薬を使って一瞬で膨らむようにしていますから、エアバッグが膨らむときの衝撃はとても大きいです。
運転席の場合、エアバッグはハンドルの中心に入っていますからハンドルに近すぎるとエアバッグの衝撃を運転手自身が受けることになってしまいます。
そういったこともあり、ハンドルとの距離は最低でも30センチ以上あることが大切です。
また、事故の際にハンドルとの距離を稼ぐために出来るだけハンドルとの距離を離すことも大切です。
シートは寝かせすぎない
クルマに乗っているとシートを寝かし気味にしてしまいますよね。
起こしていると身体も辛いですし、運転に関しても起こしていると窮屈に感じてしまいますから。
ですが、寝かしすぎると事故で危ない場合があります。
シートベルトは基本的に正しい姿勢で乗った時に最も安全性が高くなる装備ですから、シートを寝かした状態ではシートの座面の上を身体が滑ってシートベルトの下を抜けてしまうこともあるんです。
また、シートを寝かしている時に正面からぶつかる事故に遭うと背骨に縦方向の力がかかります。
場合によっては障害が残ってしまうことだってあるんです。
しかし、シートを起こし気味にしておけば身体を支えるのはシートベルトなので背骨にかかかる力が少なくなるので安全です。
シートを起こしすぎるのも危険
シートを起こしすぎると窮屈になって判断力が鈍ります。
視線も下がって遠くを見難くなってしまいますから、起こすのは窮屈に感じない程度にしましょう。
ペダルを踏みこんだ時に膝が曲がっていることが大切
ペダルを思い切り踏み込んだ時に膝が伸びてしまっていると、事故の時に骨盤を骨折する可能性が高くなります。
ペダルを思い切り踏み込んだ時に膝が曲がっていれば衝撃が膝の部分で逃げてくれるのでより安全になります。
操作が的確にできること
すべての操作が的確にできないドラポジはアクティブセーフティの面で失格です。
ハンドル、アクセル、ブレーキ、クラッチすべてが適切に操作できる距離を維持しましょう。
シートベルトの高さ調整
シートベルトの高さ調整ができるクルマなら、肩の真ん中を通るようにシートベルトの高さを調整しましょう。
これによってシートベルトが肩から外れてしまったり、首に当たってけがをするリスクが低くなります。
ヘッドレストも忘れずに
ヘッドレストというと頭を休める装備(Head-Rest)だと思っている方も多いのではないでしょうか?
実はヘッドレストは本来、ヘッド・レストレイント(Head-Restraint)が正式名称なんです。
ヘッド・レストレイントとは英語で頭を拘束するものという意味で、その名の通り事故の際に頭を支えて安全性を高める装備です。
特に追突事故の時にこれがあるかないかでむち打ち症の重症度が変わってきます。
ヘッドレストは頭を支えることが大切なので、頭の重心をヘッドレストで支えてあげるように調節します。
具体的には、ヘッドレストの中心が耳の中央に来るように調節します。
形が複雑で中央がわかりにくかったら頭のてっぺんとヘッドレストのてっぺんが同じ高さになるように調節しましょう。
前後方向に調節できるヘッドレストの場合にはドラポジを調整した後、頭とヘッドレストの間が手のひら一枚以下になるように調節します。
軽く触れるくらいまで近づけても大丈夫ですが、安全確認に支障がでるので頭の動きを邪魔しないように注意しましょう。
安全性と操作性は紙一重
さて安全性と操作性の両面からドラポジを考えてみましたが、矛盾している項目もありますよね。
レースのような過酷な状況であればハンドルとの距離が近い必要がありますが、一般道ではそこまで近い必要はありません。
状況によって変化してしまうので、ドラポジに正解はないんですね。
ですから、前回と今回の内容を踏まえてバランスを取ることが大切なんです。
人によっては高速と一般道でドラポジを変える方もいるかもしれませんが、あまりオススメしません。
車両感覚が変わってしまいますし、高速道路のほうがクルマの動きがシビアになるからです。
高速道路であっても緊急事態にはハンドルをしっかり回すことが大切です。
一般道と同じくハンドルはしっかり回せることが大切でしょう。
次回はまとめとして、もっと簡単なドラポジのチェックポイントを紹介していきます。