運転姿勢、どう決めていますか?

意外と難しいドライビングポジション
ドライビングポジションって実はとても難しいものなんです。
自動車メーカーによって推奨しているドラポジは違いますし、場合によっては真逆のことを言っていることもあるくらいです。
速く走ることに特化したレーシングドライバーでさえ、ドライバーによって好みのドラポジは変わってきます。
さらに、クルマによっても変わってくるのがドラポジです。
そんな風に複雑なものなんですね。
ポイントが大切
そんな複雑なドラポジですが、ポイントとなる部分は存在します。
自動車メーカーにしてもレーシングドライバーにしても、そのポイントはしっかり捉えているんですね。
そして、そのポイントはクルマが変わっても同じですからポイントさえわかればいろんな状況に対応することができます。
安全性と操作性のバランス
実はドラポジは安全性にも関わってきます。
メーカー推奨のドラポジというのは安全性と操作性のバランスも取っていますから、メーカーごとにどちらを優先するかで推奨するドラポジが変わってくるんですね。
安全性を追求すれば操作性が多少犠牲になりますし、操作性を追求すれば安全性も多少犠牲になります。
そこのバランスをうまく取ることもドラポジの重要なポイントなんですね。
ドラポジは範囲
正解のドラポジというのは存在しません。
それぞれ体格も違いますし、クルマによっても変わってきてしまうからです。
そういったこともあり、ドラポジというのは範囲だと考えるのが良いでしょう。
ドラポジのポイント
シートに深く座る
これは一番大切な基本です。
シートに深く座っていないと正しいドライビングポジションも全く意味を持ちません。
座る度に身体の位置が変わってしまいますし、身体を動かすたびにドラポジも変わってしまうからです。
シートに深く座っていれば、シートという身体を支える物があるおかげで毎回同じドラポジになりますし、走行中に身体を動かしてもまた同じドラポジで運転することができます。
また、シートに身体が密着することで身体をしっかりと支えることができます。
カーブでもシートが身体を支えてくれるので疲れが減りますし、正しい姿勢を保つことができるので腰痛にもなりにくくなります。
ハンドルを回したときに腕が伸び切らない
これは最も大切なポイントです。
ハンドルというのはクルマの進む方向を決める大切なデバイスです。
まっすぐ走るときにもハンドルがなければどこに行くかわかりませんし、曲がることだってできません。
ですから、ドラポジを決めるならまずはハンドルとの距離を大切にしましょう。
ハンドルで大切なのは身体をシートから背中を離さずにハンドルを360度回すことができるかどうかです。
ハンドルを切るときにシートから背中を離してしまうと身体をサポートしてくれるシートという存在が無くなってしまいます。
そうなると自分の身体を支えるのは自分の筋肉のみです。
当然疲れやすくなりますし、腰痛の原因になることも。
ですから、身体をシートにつけたままハンドルを回せることは大切なんですね。
また、シートに背中を付けていたとしても走行中は身体がずれますから多少近めにすることが必要です。
とはいえ、近すぎると逆に回しにくくなってしまうのでハンドルを時計に見立てて、左手を9時の位置、右手を3時の位置に置いた時に肘が90度以上曲がっていたら近すぎです。
目安としてはハンドルの12時の位置に腕を伸ばして、ハンドルの12時の位置に手首で触れることができたら適切な距離です。
この時、右手と左手の両方が届くことも確認しましょう。
ペダルがしっかりと踏み切れるように
ブレーキペダルやアクセルペダルとの距離はペダルをしっかりと踏めるかどうかを重視しましょう。
ブレーキが強力なレーシングカーであってもブレーキペダルをしっかりと踏めなければ短い距離で止まることはできないんですね。
ですから、ペダルが踏めなくなるところまでしっかりと踏み込めることが大切です。
また、ペダルが踏み込めなくなるところまで踏んだ時に膝が伸び切らないようにしてください。
ブレーキペダルを思い切り踏み込むとその分、身体がシートに押し付けられます。
シートの沈みこみ方は状況によって変わってしまいますから、多少沈み込みが変わってもしっかりと踏み込めるように”余裕”が必要です。
そういった理由で膝が伸び切らないようにすることは大切なんですね。
ただし、ペダルとの距離に関しても近すぎると踏みかえでペダルに足が引っかかったり、足が疲れたりするので近すぎにも注意しましょう。
とはいえ、ハンドルが異様に遠い自動車メーカーもいくつかありますからので、ハンドル位置かペダル位置どちらかを犠牲にしなければいけないのであればハンドル位置を優先しましょう。
シートの高さも重要
意外と忘れがちなのがシートの高さ調整です。
どんなに良い視界のクルマでも視点が低ければ見えない部分が増えてしまいます。
特に最近のクルマは安全性への対策から内装の位置が高めになっていますし、見えない部分の多い背の高いSUVやミニバンといったクルマも多いですから、シートの高さ調節は重要です。
これも実はメーカーによって違います。
例えば、BMWは天井と頭の間が指4本分になる高さまで座席を持ち上げることを推奨していますし、ポルシェの場合には視界が確保できる限りできるだけ低いポジションを推奨しています。
さすがにメーカーごとにどのように設計されているのかを調べるのは現実的ではないので、大体の目安としてまっすぐ前を見てフロントガラスの縦方向の中央くらいに視線が来れば問題はないでしょう。
そうすれば信号なども見やすく、かつ死角も減らせるからです。
この3つのポイントさえ押さえておけば大抵の場合正しいドライビングポジションの範囲に収まります。
設計によってはペダルかハンドルのどちらかの距離が合わない場合なんかもありますが、その時にはハンドルとの距離を最優先に考えましょう。
次回は安全性を考えた時のドライビングポジションのポイントの解説です。