スポーツカーのAT化とネットゲーム

現代のスポーツカーはATが主流となりATのみの車種も多くあります。

今回はその流れとネットゲームの流行とを絡めてお話していきたいと思います。

スポーツカーのAT化

スポーツカーにATが増えたわけ

スポーツカーのAT化はATの高性能化と結びついたものです。

従来のATはダイレクト感に乏しいものが多かったのですが、現代のATでは十分なダイレクトさを確保してあることからMT車が好きだった方でもATを選ぶ方が増えています。

しかも、MTであればクラッチを操作したりシフトレバーを操作する必要がありますが、ATであればハンドルについているパドルスイッチでシフト操作をすることが可能になり運転に集中できるという利点があります。

こういった利点からATのスポーツカーの販売が飛躍的に伸びたのです。

 

ATのみのスポーツカーが増えたわけ

近年のスポーツカーではトランスミッションがATのみとなっている車種が非常に多いです。

フェラーリは全車ATのみですし、アルピーヌ新型A110、トヨタ新型スープラ、など様々なスポーツカーがATのみとなっています。

これはメーカーにとってMTはMTに乗れる方にしか売れないのに対して、現代の出来の良いATであればMTを運転したことがない方とMTが好きな方両方にアピールできることから利益を出しやすくなるメリットがあります。

さらに、ATであればコンピュータがコントロールできるため、ユーザーの操作が原因の故障を減らすことができます。

そういった理由もありMTがないスポーツカーが増えてきました。

 

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ネットゲームとスポーツカー

無料のネットゲームの台頭

最近のネットゲームの主流は ” Free to Play “(基本料金無料)です。

これはゲームをプレイするだけならタダという意味で、ゲームプレイの敷居を下げることでプレイしやすくする発想です。

どうやって利益を出しているかというと”課金”と呼ばれるような制度です。

これは例えば、経験値を多くもらえるアイテムなどゲームを充実させるアイテムを購入することができる制度を指します。

 

基本料金無料と”Pay to Win”

“Pay to Win”とは?

これは直訳すれば”勝つためにお金を払う”となります。

その意味の通り、お金を払うだけで強くなれる、勝つことができるようなゲームに対して使われます。

海外においては”Pay to Win”傾向を持ったゲームは批判の対象となり、

“Free to Play”なのだからすべてのゲームプレイヤーは公平であるべき

という考え方が強いです。

要するにお金を払えばゲームプレイヤーの強さを底上げすることができ、お金を払ってはいないが努力をしているゲームプレイヤーより簡単に強くなるようなゲームは駄目だという発想です。

そういったことから海外のオンラインゲームでは直接勝ち負けに差が出ないようなアイテム、例えばお金を払うことで経験値が多くもらえるようなアイテムやファッションアイテムなどに課金させるゲームもあります。

しかし、”Pay to Win”は利益を上げやすいことから多くのゲームでその傾向が見受けられます。

 

“Pay to Win”と”スポーツカー”

現代のスポーツカーにはATが多いことは冒頭でお話しましたね。

これは主にATはシフトが速く、クラッチ操作に煩わされずに走りに集中できることからそのような傾向があります。

これは要するに

最新のATが付いているクルマをお金を払って買えば運転能力を底上げできて、努力をしてシフト操作を習得した人より簡単に速く走ることができる

ということになります。

これは”Pay to Win”の発想に近いのではないでしょうか?

勿論クルマの場合にはMTが好きな方は操作の楽しさに惹かれていることからATを問題視する傾向にはありません。

ただし、MTが好きなコアなユーザーはMTという腕を表すツールを失うことで寂しさを感じているのは事実です。

人間は楽をして簡単に他者より優位になれることに魅力を感じることが多いです。

そういったことから、”Pay to Win”が商業的に成功するのは必然です。

ですからクルマにおいてもMTより速いAT車があればそれに飛びつくのは必然です。

 

“Pay to Win”の末路

“Pay to Win”傾向はネットゲームにおいて商業的に重要な要素です。

世の中はすべてお金で動いていますから、商業的に利点の多い”Pay to Win”傾向はとても重要なものとなります。

しかし、あまりにもこの傾向が進みすぎると趣味にそこまでお金をかけられないユーザーと、湯水のようにお金をつぎ込むユーザーの格差が広がっていきます。

結果としてお金をかけられない、かけたくないライトユーザーはストレスを感じ、最終的にやる気をなくして去っていくことになるのです。

当然、お金かけられるヘビーユーザーとお金をかけられないライトユーザーを比べればどちらが多いかは一目瞭然でしょう。

そして過疎化が進みゲームが成り立たなくなってしまいます。

ですから、”Pay to Win”は過度に取り入れすぎないような工夫が必要です。

 

クルマ好きの過疎化

クルマは普通に乗るだけでもお金がかかるものです。

それだけでも敷居が高いにもかかわらず、最近のスポーツカーはどんどん値上がりしています。

これは主にスポーツカーを買うユーザーはお金に余裕がある層であることから、価格の安いスポーツカーを作るよりも高級スポーツカーを作ったほうが売りやすいからです。

しかし、一般的な感覚からすれば、最新の高級スポーツカーを買うよりもミニバンを買ったり、古い中古のスポーツカーを買ったほうが幸せになれると考えるでしょう。

これはある意味”Pay to Win”傾向が進んでいるとみることができます。

現状は過去にクルマに魅力を感じていた層も多いことからクルマ好きもまだまだ存在します。

ですが、このまま高級化が進みスポーツカーのようなクルマ好きの憧れになるクルマがどんどん手の届かないところに向かっていけばクルマ好きの人口はどんどん減っていくでしょう。

 

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現代のクルマに足りないもの

現代のクルマに足りないもの、それはずばり維持費や価格の概念です。

自動車メーカーは新型車をより多く売るために旧型よりも大きく、豪華にする傾向にあります。

そういった傾向もあり現代のクルマは以前よりハイスペックで、なんでもついていて、快適なクルマになっています。

その傾向は加速していると言えるでしょう。

しかし、ユーザーにとって大切なのはお金です。

クルマにお金を湯水のようにつぎ込める方は限られているのです。

ですから一般ユーザーに向けたクルマ作りでは価格がとても重要となります。

そしてそれはクルマ好きでも一緒で、クルマの維持費が高ければクルマ好きですらクルマを買うことを躊躇するでしょう。

ましてやスポーツカーのような利便性の悪いクルマでは尚更維持は難しいものになります。

だからこそ、クルマへの魅力を若い世代にもアピールしたければ昔のクルマのようなシンプルかつ小型で安価なクルマを作ることが不可欠なのです。

昔のクルマのようにシンプルであっても現代の技術で作れば良いクルマができるでしょう。

 

自動車メーカーの若者離れ

良く若者のクルマ離れという話が出ます。

ですが、実際には自動車メーカーの若者離れなのではないかと感じることが多いです。

若者が買うことのできない価格の車を作り若者に売れないと嘆く。

それは当然でしょう。

 

性能主義の自動車業界

現代の自動車業界の流れは価格が高くても性能が良ければ正義、価格が安くても性能が低ければ悪というような風潮があります。

しかし、その性能、本当に必要ですか?

ATでもMTよりも速く走れます。

しかし、それって結局達成感は得られないってことですよね。

達成感を得られないのであればスリルを得ようとするのが人間です。

取り締まりが厳しくなっているにもかかわらず自動車の性能は上がり続ける。

これほど矛盾を感じることはありません。

取り締まりが厳しくなっているからこそ、クルマの本来の楽しさ、移動する際の楽しさやクルマを運転すること自体の楽しさをアピールするべきだと感じます。

 

装備主義のドイツ車と質感志向の日本車

日本車はクルマ本来の楽しさから目を背けていた時期もあります。

そしてドイツ車こそクルマの本質を大事にしているといわれた時代があります。

しかし、現代ではそれがまったく逆転していることが皮肉です。

ドイツメーカーが優れたクルマを作り出してきたのは事実です。

ある時期までは本当の意味で質感の高くユーザーのことを考えたクルマを作り出してきました。

しかし、現代ではドイツ車はテクノロジーに目を奪われクルマの本質やユーザーに対しての思いやりを置き去りにしています。

そして、現代のドイツ車を含めたヨーロッパ車はスポーツカーでも楽しさを追求するのではなく、より簡単に速く走れることをアピールする”Pay to Win”傾向が強いです。

そういった傾向もあり、現代でユーザーの立場に立ったクルマ販売を行えるのは日本メーカーだけでしょう。

元々マツダはずっとそういったクルマ作りを地道に続けてきましたし、トヨタも現在ではそういった車作りを目指しています。

ホンダも若者のクルマ趣味を支えてきました。

現代の自動車業界において真のスポーツカーメーカーはドイツメーカーではなく日本メーカーです。

 

自動車業界を活性化するには

自動車メーカーが本当の意味で若者の立場に立ってクルマ作りをすることが重要でしょう。

世界一を競うクルマではなく、若者が楽しむことができる楽しいクルマが必要です。

その為には価格を抑えることは必要ですし、86やロードスターの価格でぎりぎりです。

そして何より重要なのはライバルは中古車であるという事実です。

過去に日本メーカーは名車を生み出してきました。

そういった名車が安く手に入ること、それが一番の問題です。

クルマとして現代のクルマより優れていてまだしっかりと動くものが安く中古で販売されていればコアなユーザーはそれを買うに決まっています。

そして、一般ユーザーは名車となった中古車の情報を手に入れてもそのメーカーの新車のスポーツカーを買おうとは考えないでしょう。

だからこそ、コアなユーザーにもアピールできるシンプルかつ楽しいクルマが重要なのです。

価格が安いアルトワークスをはじめコペンにS660、スイフトや86/BRZにロードスターと名車の品格を備えたクルマがたくさんある日本の自動車メーカー。

スポーツカーである必要はないんです。

今こそ絶対性能ではなくシンプルかつ価格が安く維持しやすいクルマに目を向けても良いのではないでしょうか?

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