踏み間違い事故を減らすには?神戸路線バス事故を分析してみた

現代ではAT車が普及しています。

そしてその流れは路線バスにも。

神戸で起きた路線バスの事故原因を分析してみました。

 

AT車とMT車は何が違う?

AT車の踏み間違い事故は多いものの、MT車の踏み間違い事故はあまり聞いたことはありませんよね。

実際には存在はするのでしょうが、MT車の絶対数が少ないこととAT車とMT車の構造の違いが影響しています。

 

MT車にはクラッチペダルがある

MT車にはクラッチペダルが存在し、踏み間違いを起こした際にもクラッチペダルを切り動力を切るという動作が自然とできます。

これはAT車においてもNレンジを使うことで可能となっていますが、AT車の場合にはそのままRレンジやDレンジに入ってしまい今度は逆向きに加速してしまう可能性が高いです。

しかし、MT車の場合にはクラッチペダルを踏むだけですからその時点で動力が切れます。

そういったことからMT車のほうが構造的に踏み間違いをしても事故に至りにくい構造です。

 

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AT車の発進は簡単

AT車の発進はDレンジに入れてブレーキを離すだけで可能となっています。

その為、誤ってギアを入れてしまった場合にはギアが繋がった瞬間クルマが動き出し、ドライバーはパニックになってしまいます。

それに比べると、MT車で発進する場合には必ずクラッチを切り、ギアを入れて、クラッチを繋ぎつつアクセルを踏むという複雑な操作が必要になります。

クラッチを踏まなければギアは入りませんし、ギアを入れたままクラッチを繋いでしまうような状況でもエンストしたり、エンストしなかったとしてもブレーキペダルやクラッチペダルを踏むという動作に繋がりやすいこともMT車の特徴です。

AT車は発進が簡単な代わりに、パニックになってしまった際には事故につながりやすいのです。

 

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神戸バス事故の考察

ここからは私の考察を記述します。

推測になってしまうことから不確実なものであるということをご了承ください。

 

事故を起こしたバスはAT車

近年路線バスでもAT車が普及してきています。

事故を起こしたバスもAT車だったという情報があります。

また、乗客を降ろした直後だったとのことで、止まっていた時にはギアを切り替えたり駐車ブレーキをかけていた可能性が高いです。

乗用車でよくあるブレーキとアクセルの踏み間違い事故が起きた可能性が高いです。

 

バスに使われているAT

路線バスに使われているのはAllison社製ATの場合が多いです。

これは非常にメジャーな大型車向けのATで、ボタン式のシフト操作が特徴です。

また、トルクコンバーターを使ったシステムのためクリープ現象も存在し、ギアが入った状態でブレーキが解除されればクリープ現象が発生します。

シフトはR、N、Dレンジが基本でPレンジは存在しません。

 

事故原因は?

予想として、Dレンジのまま駐車ブレーキをかけて停止していた可能性が高いです。

実際、都営バスなどで運転操作を観察していてもDレンジのまま駐車ブレーキをかけて信号待ちをするドライバーはいます。

この操作をしていた場合、駐車ブレーキを解除すればクルマは動き出すことから一度もブレーキペダルを操作することなくクルマを発進させることが可能です。

これは踏み間違い事故の大きな原因の一つです。

発進時からブレーキペダルを一度も踏まなかった場合、ブレーキペダルの位置が感覚的に不確定なものとなり踏み間違いにつながる可能性が高いからです。

 

事故を防ぐには?

駐車ブレーキをかけたらNレンジに自動シフトされる構造が望ましいです。

路線バスに使われているATではPレンジがないためNレンジからのシフト時にはブレーキ操作が必要となる可能性が高いです。

そうしたことから駐車ブレーキをかけた際にNレンジに自動シフトされれば発進時に必ずブレーキペダルを踏まなくてはなりません。

この時点で踏み間違いの可能性は大幅にへります。

もし、路線バスに使われているNレンジからDレンジへのシフト時にブレーキ操作が不要であれば、ブレーキを踏まなければギアが入らないような構造も必要となります。

既存の車両であれば、駐車ブレーキをかける際には必ずNレンジにシフトすることをドライバーに徹底することでこういった事故の確率を減らすことが可能です。

操作が増えることから面倒に感じることもあるでしょうが、発進前にブレーキを踏むという行為はAT車において非常に重要なのです。

 

簡単さが生んだ悲劇

AT車は操作が簡単になり、ドライバーが余裕を持てることから安全性向上にもつながる機構です。

しかし、現実には簡単であるが故に事故が起きていることが皮肉です。

簡単な構造であるからこそ、横着をしないことはとても重要なことなのです。

 

踏み間違い事故を防ぐには。

停車時にブレーキを離す場合にはPレンジがあれば必ずPレンジにシフトする。

Nレンジしかない車両では必ずNレンジにする。

ギアをDレンジなどにシフトするときには必ずブレーキペダルを踏む。

こういった基本的な動作を確実に行うことで踏み間違い事故が起きる可能性は減っていきます。

踏み間違い事故など悲惨な事故が起きる度に自動ブレーキや自動運転などの先進技術が着目されますが、それらの先進技術は車両価格の上昇という形でユーザーに返ってきます。

人命は大切です。

ですが、自動運転や自動ブレーキなどに頼る前に、運転操作を見なおし横着を減らすことこそ踏み間違い事故は勿論自動車事故を減らすことにつながります。

ユーザーにとって便利な自動車。

今こそ正しい運転を模索する時期に来ているのではないでしょうか?

 

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