今回はトヨタと日産のSUV、トヨタRAV4と日産エクストレイルの比較をしていきます。
それぞれのクルマの特徴
トヨタRAV4

2019年4月に日本市場で復活したトヨタRAV4。
1994年から続くトヨタのSUVです。
今回比較する5代目RAV4はトヨタの設計思想”TNGA”を採用したモデルです。
精悍なデザインと共に、トルクベクタリング機構を持った4WDシステムや、パワーアップしたE-Fourなど基本設計の面でも魅力的な車です。
パワートレーンは直噴ガソリンエンジン仕様とハイブリッド仕様の2種類。
ハイブリッドシステムはプリウスでお馴染みの実績のあるシステムです。
直噴ガソリンエンジン仕様に積まれるトランスミッションは国内のトヨタ車では初搭載の”Direct Shift-CVT”。
トヨタ車以外ではレクサスUXに積まれているトランスミッションです。
こうした最新の機構によって燃費と走行性能を両立させていることも特徴でしょう。
日産エクストレイル

今回比較するのは2017年6月にマイナーチェンジされ、2019年1月に仕様向上されたモデルです。
エクストレイルの歴史は2000年に初代が発売されたことから始まります。
SUVながらもアウトドアを前面に押し出した初代エクストレイルのCMが印象に強く残っている方も多いのではないでしょうか?
今回比較する3代目エクストレイルも防水仕様になった内装や多彩なシートアレンジなどアウトドアでの使用を年頭に置いた設計になっています。
さらに、今回のモデルでは運転支援機能の”プロパイロット”や、”インテリジェントパーキングアシスト”などの最新技術が投入されアウトドア以外での使い勝手も大幅に良くなっています。
グレード構成 / 価格



価格について
純粋に価格を見るとベースグレードの価格は40万円ほどRAV4のほうが高いですね。
エクストレイルの通常グレードと比較すれば一番高いモデル同士では50万円ほどの違いになりますが、エクストレイルのAUTECHグレードとの比較になると価格差は全くなくなります。
これは2車種の特徴を表していて、電動シートなどの機能装備が充実しているRAV4に対して、電動シートなどの機能装備は少なく防水シートなどの実用性重視しているエクストレイルという特徴が表れています。
安全装備の面でも価格差の影響が出ていてサイド・カーテンエアバッグが全車標準装備のRAV4にたいして、全車オプション設定のエクストレイルという違いがあります。
どちらかといえばRAV4のほうが高級なイメージが強いですね。
エクストレイルの場合にはAUTECH仕様にするとレザーシートなど高級感が出る装備が付くことからその差は縮まりますが、電動シートなどは付いていないため若干割高感があるかもしれません。
価格の面では安いのはエクストレイル、お得感があるのはRAV4ということになります。
燃費
これに関しては判断がとても難しく、RAV4のガソリン仕様車はJC08モード未計測で、エクストレイルはWLTCモード未測定となっていることから純粋に数値で比較ができません。
しかし、エクストレイルガソリン仕様車のJC08モード燃費とRAV4ガソリン仕様車のWLTCモード燃費を比較するとほぼ同等です。
基本的にJC08モード燃費のほうが数値が良くなる傾向にあることから燃費は同等、もしくはRAV4ガソリン仕様車のほうが燃費が良いのではないかと推測できます。
さらに、ハイブリッド仕様車に関してもRAV4のほうが燃費が良くなっています。
燃費で選べばRAV4でしょう。
車体サイズ


車体サイズは見た目の通りRAV4のほうが車幅が広くなっています。
しかし、ここで面白いのは全長はX-TRAILのほうが長いのです。
短く幅広いRAV4に対して、長く幅が狭いX-TRAILとなります。
この傾向は小回りの目安、最小回転半径に関しても表れていて全長が短いRAV4のほうが小さくなっています。
ただ、一部グレードでは20センチ最小回転半径が大きくなっていることは注意が必要です。
これはディスコネクト機構が原因でしょうか?
全高に関してはエクストレイルのほうが高いですね。
実はこれに伴って室内高もエクストレイルのほうが高くなっています。
さらに、最低地上高もエクストレイルのほうが高く、アウトドアを意識したクルマという部分がそのまま設計に表れています。
4WD性能
エクストレイルの4WDシステム
エクストレイルの方式は標準的な電子制御式4WDシステムです。
駆動配分を前後100:0~50:50まで可変させる能力があり、悪路での走破性は完璧とは言えなくてもSUVとして十分な能力を持っています。
前後駆動配分のモード切替スイッチも付いていてFFモード、自動制御モード、LOCKモード(悪路用)が選択できます。
万が一タイヤが空回りした場合には4輪独立してブレーキ制御がかかることで空回りを抑制できます。
FF状態でも走れることから燃費でも有利な4WD方式です。
ガソリン仕様車、ハイブリッド仕様車共に同じ形式です。
RAV4の4WDシステム
RAV4についてはトルクベクタリング機構の有無やハイブリッドシステムの有無によって4WD方式が3つ存在します。
X・Gグレードに関してはエクストレイルと同じく標準的な電子制御式4WDシステムを採用しています。
駆動配分は前後100:0~50:50まで可変できます。
マルチテレインセレクトという制御モード切り替えスイッチがあり、MUD&SAND/NORMAL/ROCK&DIRTの3種類から選択できます。
路面状況に応じてモードを切り替えることで、前後の駆動力配分の制御の仕方や4輪独立したブレーキ制御の仕方が切り替わり路面状況に適した制御を行います。
次に、G”Z package”と”Adventure”に関しては上記の機構に加えてトルクベクタリング機構とディスコネクト機構が追加されます。
トルクベクタリング機構は後輪左右の駆動配分を切り替えることでコーナリング時などに安定性やコーナリング性能を引き上げる構造です。
この構造はオフロードでも有利で後輪にデフロック機構が付いたのと同じような効果があります。
効果に関してはこちらの動画がわかりやすいかと思います。
レッドマイカのRAV4が従来からある電子制御式4WDシステム、後半のグレーメタリックの車両がトルクベクタリング機構付きの4WDシステムです。
このようにブレーキ制御があることから通常の電子制御式4WDでも走ることができますが、トルクベクタリング機構があるほうがより緻密に制御されています。
しかし、このトルクベクタリング機構を追加すると複雑になる分燃費に対して悪影響があります。
それに対してのトヨタの答えがディスコネクト機構です。
この機構はFF時には必要がない後輪のデフやプロペラシャフトなどを物理的に切り離すことで燃費を良くする機構です。
これによってトルクベクタリング機構が付いているグレードでも、付いていないX・Gグレードと同等の燃費を稼ぎ出しています。
RAV4のハイブリッド仕様車に関してはプリウスなどにも積まれているE-Fourと呼ばれる4WDシステムが採用されます。
これは後輪に関してはモーターのみで駆動するシステムです。
エンジンからの駆動力を後輪に分ける必要がない分無駄が少なく燃費への影響が少なく街乗りがメインの車に向いた4WDシステムです。
RAV4では従来よりリアモーターのパワーを上げることで4WDを有効に使える領域が以前よりも増えています。
E-FourではTRAILモードと呼ばれる滑りやすい路面でのスムーズな発進を目的としたモードが存在します。
4WD性能のまとめ
非常に凝った構造の4WDシステムを持ったRAV4はオンロード、オフロードでの走行性能が魅力です。
トルクベクタリング機構を持ちながら燃費への悪影響を減らしたG”Z package”・Adventureグレードの悪路走破性とオンロードでの走行性能の両立は特筆すべきでしょう。
そして、E-Fourの燃費と走行性能の両立もSUVとして利点が多いです。
勿論、4WDとしての性能であればエクストレイルも負けていませんが、SUVとしての性質を考えれば柔軟性の高いRAV4の4WDシステムの勝ちでしょう。
走行性能
こちらでは主に緊急回避性能に関しての内容となります。
また、比較している動画はヨーロッパ仕様車の動画となり国内仕様とは若干異なる可能性があります。
それを踏まえたうえでこちらをご覧下さい。
撮影された時期が違うため路面状況が変わっている可能性もありますが、日産エクストレイルのほうが終始安定していることがわかります。
勿論、車幅が狭いことによるライン取りの自由度などもありエクストレイルには有利な試験ではありますが、現実世界でも車幅に応じた車線などというものは存在しないことからこの結果はそのまま緊急回避性能ということで見ていいでしょう。
勿論、姿勢だけではなくESP(横滑り防止装置)の良しあしもこの結果には影響しています。
走行性能に関してはエクストレイルの勝ちです。
どっちが買い?
価格が安く、アウトドアを強く意識したエクストレイルと、4WD性能と燃費に優れたRAV4。
総合評価ではRAV4がオススメとなります。
ただ、エクストレイルの一番安いグレードはハロゲンヘッドライトやマニュアルエアコンが標準装備になっているなどかなり装備が削られていることから、お得感はないかもしれません。
しかし、エクストレイルは車幅が狭く、狭い道などでも運転がしやすいですから狭い道を走ることが多い方はエクストレイルが有力な選択肢になるでしょう。
また、4WD性能や装備内容で選びたい方にはRAV4がオススメです。
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