国産車を中心に採用されることが多いCVT。
CVTのメリットとはなんでしょう?
CVTのメリット
- 燃費が良い
- スムーズ
- 加速が良い
以上の3点がCVTのメリットです。
CVTは固定のギア比を持たないのでその状況でもっとも最適なエンジン回転数を保つことができるんです。
これは燃費が良くなるだけではなく、エンジンがパワーを出しやすい回転数を維持できるので加速も良くなります。
また、固定のギア比を持たないので変速もスムーズで街中のように加速と減速を繰り返す場面はCVTにとって最も輝く場面です。
CVTって何の略?
Continuously Variable Transmissionの略です。
日本語にすると無段変速機となります。
昔ながらのATのような固定されたギアがなく、その場に応じたギア比を無段階に選べることが特徴です。
日本車で良く採用されるCVT
CVTは日本車で採用されることが多いです。
これは日本の交通環境は信号が多く停止と発進を繰り返す環境がメインだからです。
日本のような環境ではエンジンが効率良く動く範囲を維持しやすく、アクセルペダルから足を離したときの燃料カットを有効活用できることから、他の形式のトランスミッションよりも燃費の面ではメリットが多いんですね。
勿論、外国車でもCVTを使う車種は存在しました。
しかし、現在では従来型のATやツインクラッチ式ATが進化したことで外国車ではCVTを使うことはまずありません。
これは走行環境が違うことが原因で、ヨーロッパでは制限速度が高く信号も少ないことが要因でしょう。
また、MT車が普及していることからダイレクト感が少ないCVTはユーザーから好まれにくいといった面も影響しています。
ちなみにアメリカのように日本に近い交通環境の国ではCVT車が好まれます。
CVTはなぜ日本メーカーに好まれるのか
常に最適なギア比を選べる
日本のように発進と停止を繰り返す交通環境において、ギア比が固定された従来型のATではエンジンにとって効率が良くない範囲を使わなくてはならない場面が多くなります。
しかし、CVTであれば無段階に変速ができることから、その時々で適切なギア比を選ぶことができます。
エンジンにとって最も効率が良くなるポイントを選んで使うことができることから状況が変化しやすい日本の道ではメリットが大きいのです。
これは燃費の面だけではなく加速の面でもメリットになっています。
特に軽自動車のようなパワーの少ないクルマでは従来の4ATに比べるとCVTによって加速も燃費も格段に向上しています。
スムーズさ
CVTは固定されたギアがないことによってとてもスムーズな変速ができます。
加速の時に一気にアクセルを踏むような場面でも変速スピードをコントロールしやすく、変速時にショックが少ないです。
スムーズさという面ではCVTに勝てるトランスミッションはありません。
そうしたスムーズさもアメリカでのCVT人気の要因になっています。
トルコンスリップを減らせる
従来型のATにはトルクコンバーターが使われていました。
トルクコンバーターは流体クラッチの一種でオイルを使って動力をタイヤに伝えています。
オイルを使っていることから停止してもエンストしません。
しかし、オイルを使っていることから損失が大きく効率が悪かったのです。
そこで登場するのがロックアップクラッチで、ロックアップクラッチを使うとトルクコンバーターを直結できるので効率良く走行することができます。
しかし、従来型のATではロックアップクラッチを使える範囲が少なく、効率が悪かったのです。
CVTでは発進したらすぐにロックアップクラッチを常に使うことができ、効率を上げることができます。
場合によってはトルクコンバーターの代わりに湿式クラッチ(オイルに浸されたクラッチ)を組み合わせたものもあるくらいです。
現在は従来型のATが進化してかなりの領域でロックアップクラッチが使えるようになったことや、ツインクラッチ式ATが普及したことでこうしたCVTのメリットは目立たなくなっています。
エンジンブレーキを有効活用できる
CVT車は低回転を維持できることがメリットですが、減速時にもメリットがあります。
無段階に変速ができることで常に最適なエンジンブレーキをかけることもできます。
具体的には、CVT車はアクセルペダルを踏んでいる時には燃費が最も良くなるエンジン回転を維持していて、アクセルペダルから足を離したら燃料を止めることができる回転数までエンジン回転を上げるように制御します。
こうすることで加速時や巡行時には良い燃費を維持しつつ、減速時にも燃料をカットすることで燃料消費を抑えることができるのです。
マニュアルモードでギア比を自由に設定できる
CVT車にはギアがありません。
ですから、MTモードのギア比はコンピューター制御でいくらでも自由に設定することができます。
従来のATでは基本的に燃費基準などに合わせてギア比を決めることから最適とは言えないギア比の場合も多かったものですが、CVT車ではそんな心配は必要ありません。
マニュアルモードのみ自由にギア比をセッティングできますし、場合によってはスポーツ走行用のモードではギア比を加速重視にすることもできます。
現代のATでは8段や10段のものなどもあり、最適なギア比に近いものになっていますがその反面シフト操作が忙しいという欠点もあります。
構造が簡単
CVT自体の構造はとても簡単です。
その為、軽自動車のように小さいトランスミッションが必要になる車種にも向いています。
現状、効率とサイズやコストのバランスでは最良のトランスミッションでしょう。
セミAT(MTを自動化したもの)やツインクラッチ式ATなどCVTより効率の高いトランスミッションもありますが、スムーズさやコストの面でデメリットがあることから日本市場ではCVTのほうが好まれます。
デメリットもある
日本の環境にはとても良いCVTですが、デメリットがあるからこそ海外メーカーが使いたがらないんですね。
一定速度で走っている時間が多いとCVTの効率の悪さというのが悪影響しますし、アクセルを踏んだ時にダイレクト感が少ないので強い加速が多い環境では違和感が強くなってしまうからです。
日本やアメリカで最適なトランスミッションでも、ヨーロッパではイマイチな場面が多いんですね。
CVTには日本メーカーが採用するだけの理由がある
クルマ好きはCVT車よりもツインクラッチ式ATや多段ATのことをもてはやす傾向があります。
個人的にもCVT車よりもツインクラッチ式ATや多段ATのほうが好みです。(MTを除けば。)。
とはいえ、日本やアメリカといったストップ&ゴーの多い環境ではCVTのメリットはとても大きいです。
ツインクラッチ式ATの場合、日本のような市場ではスムーズさが足りなかったり、クラッチトラブルが出てしまったりといったデメリットも大きいですし、多段ATの場合にも軽自動車に積むのはコスト的にもサイズ的にも厳しいものがありますから日本車がCVT寄りになってしまうのも仕方のないことだと思います。
CVTも年々進化を続けていて、トヨタのダイレクトシフトCVTやダイハツのD-CVTなど画期的なCVTも出てきていますからこれからも進化していくでしょう。
トランスミッションは何が正しいではなく、どこで使うのか・どう使うのかがとても大切なのです。