EBDとはどんな機能なのか

今のクルマではPバルブに変わって使われているABSのEBD機能。

EBDとはいったいどんな機能なんでしょうか?

 

EBDはABSの機能の一部

EBDはエレクトロニックブレーキディストリビューションの略で、日本語にすると電子制御式制動力配分装置になります。

これはABSの機能のうちのひとつで、ABSの制御装置を共有して使っています。

ABSの機能の一部ですが、ABSが作動していないときにもEBDは効いています。

 

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EBDはどんな機能?

EBDは状況に応じてブレーキの力を分配する装置です。

車輪に付いたセンサーなどの情報を元に、前後・左右のタイヤにブレーキの力を分配してくれます。

従来はPバルブと呼ばれるものがブレーキの力を前後に分配していましたが、それを進化させたのがEBDです。

 

EBDは何でついているのか

ブレーキをかけると後ろが軽くなる

ブレーキをかけた時、クルマの前が沈み込みますよね。

これはブレーキをかけた時に重心が前方向に引っ張られることで前輪に重さがかかることで起きる現象です。

そして前輪に重さがかかった分だけ後輪にかかる重さが軽くなるんです。

その時に良くないことがあるのでEBDが付いているんですね。

 

後ろが軽くなったら起きること

タイヤというのは重さがかかっている時のほうがグリップ力が高くなります。

逆に言うとタイヤにかかる重さが軽くなるとグリップ力が低くなるんですね。

ということはブレーキをかけた時に後ろが軽くなると後ろのタイヤのグリップ力が低くなるんですね。

そして前輪に関してはグリップ力が高くなります。

つまり、後輪はブレーキでグリップ力が限界なのに、前輪はグリップ力に余裕がある状態になってしまいます。

ブレーキの力を使い切ることができないんですね。

さらに、後輪のグリップ力を前輪よりも早い段階で使い果たしてしまうとクルマが不安定になってスピンする原因にもなってしまいます。

そこで、クルマのブレーキは前輪に強くかかるようになっているんですね。

そしてその機能こそEBDです。

 

EBDの機能

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ブレーキの力を前後に分配する

EBDは基本的に前輪と後輪に均等にブレーキをかけるようになっています。

街中では弱いブレーキが多く、後輪に強くブレーキをかけても大丈夫だからです。

均等にブレーキをかけると前輪ブレーキの負担が減って、前輪ブレーキパッドが減りにくくなるのでそうなっているんですね。

後輪のグリップ力をしっかり使えるのでブレーキの効きも良くなります。

しかし、そのままだと後輪が軽くなった時に後輪のグリップ力を使い果たしてしまってクルマが不安定になったりブレーキも効きにくくなってしまいます。

そこでEBDはブレーキがある程度まで強くなると前輪に強くブレーキをかけるように制御されるんですね。

ちなみにEBDはブレーキの強さだけではなく、路面の傾きや積んでいる荷物の量、乗っている人数などによってもブレーキの前後配分を調節してくれる賢い機能なんです。

 

ブレーキの力を左右に配分する

EBDは前後だけではなく、左右方向にもブレーキの力の配分を調節します。

カーブではクルマが外側に向けて引っ張られます。

つまり、内側のタイヤにかかる重さが軽くなってしまうんですね。

そんな時にEBDは内側のブレーキを弱くして、外側のブレーキを強くすることでクルマをしっかりと止めてくれます。

 

EBD最大のメリット

EBDの最大のメリットは積んでいる荷物の量や乗車人数などに応じて前後のブレーキ配分を調節できることです。

トラックや貨物バンなど荷物を多く積むことができるクルマでは後輪にかかる重さが荷物を積んでいる時と積んでいないときで大きく変わってしまいます。

そんな時にもEBDが付いていれば常に最適な状態でブレーキがかかるので短く止まることができるというわけですね。

勿論、普通車でも荷物の状態や乗車人数によって調節してくれるのでEBDのメリットは大きいです。

 

EBDの制御方法

実はタイヤというのは走っている時、常に若干スリップしている状態なんです。

よく、”キー”という音が鳴ることをタイヤが鳴くなんて表現しますが、あれはスリップする量が極端に大きくなったことで発生する現象です。

ですから、走っている時にも気づかないレベルでタイヤが滑っているんですね。

そして、その滑りというのはタイヤの回転数に影響します。

つまり走っている時には微妙にタイヤの回転数が違うんです。

そのタイヤの回転数の違いをABSのシステムが監視して、前後のブレーキ配分を制御しているのがEBDなんです。

タイヤの実際の滑りを検知して制御しているのでかなり正確にブレーキの力を分配することができます。

ただ、どれくらい後輪のブレーキを強くかけるかは自動車メーカーの考え方が反映されます。

例えば、ドイツ車はかなり積極的にリアブレーキを効かせることでブレーキの効きを良くしています。

街中で使うブレーキでは4輪でしっかり止まれるんでブレーキの効きが良いんですね。

もちろん急ブレーキの時にも踏み始めの段階で後輪ブレーキが強く効くことで短く止まれますからメリットはとても大きいです。

 

ABSをオフにするのは危険

さて、スポーティな走行をしていたり雪の中を走る場合にはABSをオフにしたくなることもあると思います。

制御によっては怖いこともありますから切りたくなるのはとても良くわかります。

しかし、そこでEBDもオフにならないように気を付けてください。

基本的にEBDはABSの機能の一部ですからやり方によってはEBDもオフになってしまいます。

EBDがオフになると強いブレーキで後ろのタイヤが先に止まってしまってスピンの原因になったり、前輪のブレーキばかり効くようになって止まりにくくなってしまうことも。

ABSをオフにするメリット以上にデメリットの方が大きくなってしまうんですね。

 

EBDが付いているクルマで注意すること

このようにEBDはクルマの状態や走っている環境に合わせてブレーキの配分を調節してくれるとても優秀な機能です。

言い換えると状況によってブレーキのかかり方が変わるんですね。

特にわかりやすいのが下り坂です。

下り坂では後ろのタイヤにかかる重さが平地よりも少なくなるので後輪のブレーキの効きが弱くなります。

そうすると下り坂ではブレーキの効き方が変わってしまって、ブレーキを踏んでも思ったよりも減速してくれないんですね。

これはめちゃくちゃ焦りますから、下り坂でブレーキをかけるときには注意しましょう。

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