MTのシフトフィールが悪くなる原因

マニュアル車で必要不可欠なシンクロメッシュ機構ですが、どういう風に働いているのかご存じですか?

MT車のシフトフィールが悪化する原因はシンクロの働き方にあるんです。

マニュアル車のシフトフィールが悪化する原因

MT車のシフトフィールが悪化する原因にはいくつかありますが、一番大きいのはシンクロメッシュ機構の事前同期動作が上手くいっていないことです。

事前同期動作が上手くいかないとシフトフィールがゴツゴツとした感触になったり、場合によってはギア鳴きなどの症状にも繋がるんです。

 

シンクロメッシュが動く過程

MT車のシフトフィールが悪化する原因を理解するためにはシンクロメッシュ機構がどう働くのかを理解する必要があります。

一般的な乗用車のシンクロメッシュが働く時には以下の段階に分けられます。

  1. 事前同期動作(プレシンクロナイゼーション)
  2. 同期動作(シンクロナイゼーション)
  3. 同期完了
  4. ギアかみ合わせ
  5. 変速完了

大まかには大体この5段階です。

シフトノブが動くにつれて段階が進んでいく形です。

ではそれぞれがどのような過程なのか解説していきます。

 

それぞれの過程

事前同期動作

英語だと”Pre Synchronization”と呼ばれます。

これはシンクロが仕事をする準備準備で、主にシンクロとギアの間に入ったオイルを押し出す段階になります。

シンクロナイザーキーを使って事前同期動作を行うトランスミッションと、シンクロナイザースプリングを使って事前同期動作を行うトランスミッションがあります。

大抵のトランスミッションではシンクロナイザーキーを使ってありますが、ホンダなど一部メーカーではシンクロナイザースプリングを使って事前同期動作を行っています。

事前同期動作はシンクロとギアの間に入ったオイルを押し出すまで続きますが、オイルを押し出し終わったタイミングで事前同期動作も終わる必要があります。

つまり、シンクロナイザーキーやシンクロナイザースプリングはオイルを押し出し終わったと同時に仕事を終えるということになります。

事前同期動作は長すぎても短すぎてもトラブルの原因になります。

 

同期動作

シンクロメッシュ機構の一番メインとなる仕事です。

ギア同士の回転数を合わせる仕事ですね。

ギア同士の回転数が合うまでシンクロナイザーリングに設けられた歯(チャンファ)でシフト操作を止めます。

シンクロが傷んでいたり、オイルが冷えていて硬かったりするとシフト操作を止めることができずにギア鳴きなどを起こします。

 

同期完了

ギアの回転数が合うとシンクロナイザーの歯がシフト操作を止める力もなくなって、シフトノブも次のギアに向けて動き始めます。

この時、シンクロナイザーリングが強すぎるとギア同士の回転数が合っているにもかかわらずシフトノブが動きにくくなってしまうこともあります。

 

ギアかみ合わせ

シフト操作がさらに進むとギア同士がかみ合いはじめます。

この時、シンクロナイザーリングが正しく働いているとギア同士の回転数が合っているので抵抗なくギアが入りますが、シンクロナイザーリングの働きが悪いとギア鳴きなどのトラブルが発生します。

また、ギア同士の位置が完璧に合っていないときにはギアを回す力が必要となり、コツンと引っかかるフィーリングになることがあります。

ギアの歯同士が当たってしまうこともあり、その場合には一度Nにしないとギアが入らないこともあります。

 

変速完了

ギア同士が完全に噛みあうことで変速が終了します。

 

MT車のシフトフィーリング

事前同期動作が左右するもの

基本的にMTはすべての段階がスムーズに進むことでシフトフィールの良い変速ができるようになります。

その中でもシフトフィールを一番左右しやすいのが事前同期動作です。

事前同期動作は長すぎても短すぎてもトラブルの原因になるのでとてもシビアなんです。

事前同期動作が短すぎるとシンクロとギアの間のオイルを押し出すことができなくてギア鳴きの原因になりますし、長すぎると今度はシフトフィールがゴツゴツとしたものになったりゴリゴリとギアの当たる感触が発生したりします。

 

同期動作が左右するもの

一般的にギア鳴きと呼ばれる症状が発生する原因の一つです。

同期動作の時にシンクロナイザーリングが十分な摩擦力を確保できていないときにギア鳴きなどのトラブルが発生します。

オイルが冷えている時やオイルが硬すぎる時には事前同期動作の時にオイルを押し出すことができていないことから同期動作の時に摩擦力が足りずにギア鳴きの原因になります。

シンクロが摩耗している場合にも摩擦力不足からギア鳴きが起こるんです。

また、逆にシンクロの摩擦力が強すぎると停止時にギアが入りにくくなることがあります。

 

ギアのかみ合わせが左右するもの

ギア鳴きが起きるのはこの段階です。

この段階ではギア同士がかみ合うので、回転差があるとギア同士がぶつかり合ってギア鳴きが起こるんです。

ただ、ギア鳴きが起きない状況でもギア同士の位置がずれている時にはコツンという感触が残ることがあります。

 

一番影響があるのは事前同期動作

今のクルマのシフトフィールに最も影響しやすいのが事前同期動作です。

今のクルマの場合にはシンクロというのは非常に強力で新車であればシンクロの弱さが原因となるギアトラブルはあまり起こりません。

今のMT車で問題になるのは事前同期動作が長すぎる場合です。

事前同期動作が長すぎると、事前同期動作だけでギアの回転数を合わせることになってしまいます。

そうするとシンクロの歯に当たった時にはシフトノブにコツコツとしたフィーリングが伝わってきますし、ギアが入るまでに距離があるのでゴリゴリとしたフィーリングになったり最悪の場合にはギア鳴きになることも。

これが以前から当ブログで紹介しているシンクロナイザーキーに癖がついた状態というやつで、シンクロナイザーキーの抵抗が増えてしまって事前同期動作でギアの回転数を合わせてしまったことが原因でシフト途中にコツンコツンとしたショックが手に伝わってくるようになってしまっているんですね。

コペンのようにシンクロが強すぎたりするとゴリゴリとしたフィーリングにつながることもあります。

この症状の問題として、シフト操作の力を増やしても減らしても効果が薄いということが挙げられます。

シンクロの効きというのはシフト操作の力に左右されますから、シフト操作の力を変えても結果はあまり変わらないんです。

しかもシンクロナイザーキーの抵抗が増えているので力が弱すぎるとギアの回転数が合ってもシフトノブが動かないといったことも起きて無駄に長いシフト時間になってしまいます。

また、ホンダのトランスミッションのようにシンクロナイザースプリングを使って事前同期動作を行っている場合には酷いギア鳴きにつながることもあります。

シンクロナイザーキーやシンクロナイザースプリングが正しく働いている場合にはシフトノブを動かし始めると引っかかるのは1回だけであとはスコンという感触と共にギアが入るようになります。

結局フィーリングが悪くなるのはシフト操作の癖が原因で設計時よりもシンクロ関係の抵抗が増えているのが原因なんですね。

 

大切なのはシフト操作の速さ

基本的にシンクロナイザーキーやシンクロナイザースプリングに癖がつく原因はシフト操作のスピードが遅すぎるからです。

摩擦するときにはある程度の速さや圧力が必要で、遅すぎたり圧力が弱すぎたりすると変な癖が付いてしまいます。

シフト操作のスピードが遅すぎると、遅くて圧力もかからない状態になってしまってシフトフィールが極端に悪化します。

シフト操作はある程度の速さをキープするのが大切です。

よく言われるのがシフト操作をする時にはギアが入るまでギアの入り口で待つということですが、これをやるとギアチェンジの時間が伸びてシフト操作も重くなり素早いシフト操作は受け付けなくなるのでやめましょう。

もしシンクロを労わりたいのであれば一旦Nで止めてからギアを入れる時には一気に入れるようにするのが適切です。

 

クラッチ操作にも注意

ギアチェンジの時にはクラッチペダルを踏み込みますが、そのタイミングについても注意が必要です。

慣れてくるとギアチェンジの時にはクラッチペダルを踏み込みながらシフトノブを操作してしまうことがあります。

次のギアに入れる時までにクラッチペダルが踏み込めていれば異常摩耗などはないはずなのですが、ギアが入るときのフィーリングには影響があることも。

シフトノブを動かす前にクラッチペダルをしっかり床まで踏み込むのもMT車では大切なことです。