マニュアル車のテクニックの一つ、ダブルクラッチとはいったいどんなテクニックなのでしょうか?
ダブルクラッチとは?
ダブルクラッチはギアチェンジの際にギア同士の回転数を合わせるための技術です。
本来、ギアチェンジの時にはギア同士の回転数に差があるので回転数を合わせる必要があります。
その時に使われたのがダブルクラッチなんですね。
現在のクルマはシンクロメッシュ機構によってギア同士の回転数を合わせてくれるのでダブルクラッチを使わなくても運転することが可能となっています。
ダブルクラッチの手順
- クラッチペダルを踏み込む
- ギアをNにする
- クラッチを繋ぐ
- 次のギアにエンジン回転数を合わせる
- クラッチペダルを踏み込む
- 次のギアに入れる
- クラッチペダルから足を離す
以上がダブルクラッチの手順です。
クラッチペダルを2回踏みこむのでダブルクラッチと呼ばれているんですね。
一番大切なのはニュートラルでクラッチを繋いでエンジン回転数を合わせることです。
ニュートラルでクラッチを繋ぐとMTとエンジンが繋がった状態になります。
その状態でエンジン回転数を次のギアに合わせると、MT内部の回転数も次のギアに合わせた状態になるんです。
そうするとギア同士の回転数が合うので次のギアに入れることができる、というわけです。
ダブルクラッチはなぜするの?
昔のクルマにはシンクロメッシュ機構がなかったので、クラッチペダルを踏んだだけだと次のギアに入れることができません。
シンクロメッシュ機構がないクルマでダブルクラッチを使わずにギアチェンジをしようとすると”ギャー”っというギア鳴きの音がしてシフトノブが弾かれてしまうんですね。
そうしたクルマではダブルクラッチが必要不可欠な技術だったんです。
現在のクルマではシンクロメッシュ機構があるのでクラッチペダルを踏み込むだけでギアチェンジができます。
とはいえ、シンクロメッシュ機構は摩擦によってギア同士の回転数を合わせているので摩耗していきます。
完全に摩耗してしまうとギア同士の回転数を合わせることができなくなってしまうのでギア鳴きなどの原因になります。
そこで、シンクロメッシュ機構が付いているクルマでもダブルクラッチを使うことで摩耗を抑えてMT本体の寿命を延ばすことができるんです。
また、シンクロが摩耗してしまってギア鳴きを起こしてしまっているクルマでもダブルクラッチを使えばギア鳴きをさせずに乗ることもできます。
今のクルマにダブルクラッチは必要?
ダブルクラッチが今のクルマに必要かどうかは難しいところで今のMTはよほど激しい走りをしない限りはダブルクラッチを使わなくても十分な耐久性を持っています。
ダブルクラッチを使わなくてもそこまで困ることはないんですね。
ただ、ダブルクラッチを使うとシフトダウンを軽く行えるようになるので、動いている状態で1速ギアに入れたいときなどに便利ではあります。
そんな風に、”使えると便利な技術”ではあるんです。
また、ダブルクラッチを使う人でもシフトアップ時にはシンクロの負担はそこまで大きくないのでシフトアップでは使わず、シフトダウン時のみダブルクラッチをする人が多いでしょう。
そもそもシフトアップの際にダブルクラッチを使おうとするとギアチェンジに時間がかかってしまって街乗りでは不便だったりします。
とはいえ、ギアを飛ばしてギアチェンジ(2速→4速のようなギアチェンジ)をする時にはダブルクラッチを使ってあげたほうが良いかもしれません。
そんなわけで今のクルマでもダブルクラッチ自体は有効ですが、必須テクニックというわけではないんですね。
間違ったダブルクラッチはダメ
そんな風にMT車を労わることができるダブルクラッチですが、間違ったダブルクラッチには注意しなくてはいけません。
ダブルクラッチというのはギアチェンジの際に手順が増えるので慣れないと失敗することがあります。
特に、急いでダブルクラッチをしようとするとギアがNになっていないのにクラッチを繋いでしまったり、クラッチペダルを踏む前に次のギアに入れようとしてしまったりします。
そうするとMT本体には悪影響なのでダブルクラッチをする時には確実にダブルクラッチをできるタイミングで使うようにしましょう。
特に、クラッチペダルをちゃんと踏んでいないのに次のギアに入れようとしてしまったり、ギア同士の回転数を合わせるつもりが逆に回転差が広がってしまうことだってあるんです。
そうするとシンクロを労わるつもりが逆に摩耗を早めてしまう結果にも・・・。
次のギアにエンジン回転数をきっちりと合わせてからクラッチペダルをしっかり踏みこんでギアチェンジするのが大切です。
使い分けるのもアリ
ダブルクラッチを使ってギアチェンジというと毎回ダブルクラッチを使わないとダメと思ってしまうかもしれません。
ですが、別に毎回使う必要はないんです。
そもそも十分に機能しているシンクロメッシュ機構があるのならそれを使わないのはある意味もったいないことです。
たとえば素早いシフトダウンが必要な場面であればシンクロメッシュ機構に頼ってギアチェンジしてしまったほうが良いですし、余裕があってゆっくりギアチェンジができるのであればダブルクラッチを使ってあげたほうがMTには優しい運転になります。
そんな風に状況によって使い分ければ良いんです。
ダブルクラッチとは?まとめ
- ダブルクラッチはギア同士の回転数を合わせるための技術
- 古いクルマでは必要不可欠な技術だった
- 今のクルマでもシンクロの摩耗を減らすために有効
- 間違ったダブルクラッチはやらないほうがマシ