今回はMT車で坂道発進する方法と練習手順についてです。
坂道発進の方法
- サイドブレーキをかける
- ブレーキペダルから足を離す
- クラッチペダルを踏み、ギアを入れる
- サイドブレーキを軽く引っ張ってボタンを押し込んだ状態にする
- アクセルペダルを軽く踏む
- クルマの前が持ち上がるまでゆっくりクラッチペダルを戻す
- クルマの前が持ち上がったらクラッチペダルの動きを止める
- サイドブレーキをゆっくり解除する
サイドブレーキをかける
坂道発進に慣れるまではサイドブレーキを使って坂道発進をするようにします。
一番安全ですし、落ち着いて発進ができるからです。
サイドブレーキが緩すぎるとブレーキペダルから足を離したときにクルマが下がってしまうので注意しましょう。
とはいえサイドブレーキを強くかけすぎると解除するときに大変なので、力いっぱいサイドブレーキをかけてしまうのは避けてください。
ブレーキペダルから足を離す
坂道発進の動作に入る前にブレーキペダルから足をゆっくり離します。
足をゆっくり離すというのが重要で、クルマが下がってしまったらすぐにブレーキペダルを踏みなおしてサイドブレーキをもっと強くかけます。
下がった時に慌ててしまうこともあるので慣れるまではギアを入れる前にブレーキペダルから足を離したほうが安心かもしれません。
クラッチペダルを踏み、ギアを入れる
通常のMT車の発進と同じようにギアを入れましょう。
アクセルペダルを踏む前であればどのタイミングでギアを入れても問題ありません。
アクセルペダルを踏んでからギアを入れてしまうと、MT車でギアチェンジする際に作動する”シンクロ”に負担がかかるので避けたほうが良いでしょう。
サイドブレーキを軽く引っ張ってボタンを押し込んだ状態にする
サイドブレーキを解除するときにはレバーを引っ張ってからボタンを押し込む必要がありますよね。
実際に発進する段階になってからサイドブレーキのボタンを押し込もうとするとタイミングが合わなくなってしまうことがあります。
他にも、サイドブレーキを解除するときに力が必要になるので半クラッチが安定せず、エンストする原因になることも。
そこで事前にレバーを引っ張ってボタンを押し込んでおくことで、サイドブレーキを解除するタイミングを合わせやすくなり、半クラッチも安定させやすくなります。
途中でサイドブレーキが緩んでしまうとクルマが下がってしまうので注意しましょう。
アクセルペダルを軽く踏む
坂道発進では通常の発進よりも少し多めにアクセルペダルを踏むようにします。
目安としてエンジン回転計(タコメーター)が2000回転前後になるくらいになるようにアクセルを踏むと良いでしょう。
ぴったり2000回転を維持する必要はありません。
それよりもアクセルペダルの踏み込み量を安定させるようにするのがコツです。
急な坂道でエンジンが小さいクルマの場合、エンジン回転数を2500回転くらいまで上げる必要があることも。
あくまで目安なので坂道の状態に合わせてアクセルペダルの踏み込み量を変えるようにしましょう。
とはいえアクセルペダルを踏みすぎるとクラッチ焼けなどの原因になるので注意です。
クルマの前が持ち上がるまでゆっくりクラッチペダルを戻す
アクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数を高くしたら、クラッチペダルをゆっくり動かして半クラッチ状態を作ります。
この時、クルマの前(鼻先)が軽く持ち上がるまでクラッチペダルを戻してくることがコツです。
エンジン回転数が低くなってエンスト寸前になってもクルマの前が持ち上がらなかったら、少しだけアクセルペダルを踏む量を増やしてからクラッチペダルをさらに戻します。
アクセルペダルを踏み足す目安はエンジン回転数が1000回転以下になってもクルマの前が持ち上がらなかったときです。
この時、アクセルペダルを踏みすぎるとクラッチ焼けの原因になるのでほんの少しだけ踏み足すのがコツです。
クルマの前が持ち上がったらクラッチペダルの動きを止める
クルマの前が持ち上がるまでクラッチペダルを戻して来たら、その場所でクラッチペダルの位置を固定します。
そうすることで、エンストせずに安定した坂道発進ができるからです。
クラッチペダルの位置を動かしてしまうとギクシャクした発進になってしまうこともあるので注意しましょう。
ただ、サイドブレーキを解除した後にあまり加速せず、半クラッチ状態が続いてしまう時にはクラッチペダルをもう少しだけ戻してからクラッチペダルの動きを再び止めると良いでしょう。
サイドブレーキをゆっくり解除する
半クラッチ状態を安定させたらサイドブレーキをゆっくり解除します。
サイドブレーキを一気に解除してしまうと加速しすぎてしまったり、パワーが足りなかったときにクルマがいきなり下がってしまうのでゆっくり解除することが大切です。
もし、パワーが足りなかったりしてクルマが下がりそうになったら即座にサイドブレーキを引くようにしましょう。
失敗してエンストしそうになった時にもサイドブレーキを引きなおしながらブレーキペダルも踏むようにすると安全です。
坂道発進をする時に意識すべきこと
クルマの前が持ち上がるまでサイドブレーキは解除しない
クルマの前が持ち上がる状態というのは坂道発進するのに十分な力がタイヤにかかっている証拠です。
つまり、クルマの前が持ち上がっていればサイドブレーキを解除してもクルマが下がらないんですね。
クルマの前が持ち上がる前にサイドブレーキを解除してしまうとクルマが一瞬下がってしまいます。
それでも落ち着いて半クラッチ操作をすれば発進できますが、慣れるまでは慌てて失敗する原因なので注意したほうが良いでしょう。
エンジン回転数を意識しすぎない
坂道発進ではエンジン回転数を意識しすぎないようにしたほうが良いでしょう。
目安として2000回転程度というのはありますが、厳密に2000回転にする必要はありません。
エンジン回転数を意識しすぎるとアクセルの踏み込み量が安定しなくなり、坂道発進で失敗する原因になります。
エンジン回転数は目安程度に考え、アクセルペダルの踏み込み量を一定にすることを重視しましょう。
とはいえエンジン回転数が高くなりすぎるとクラッチへの負担が大きくなるのでアクセルペダルの踏み込み量を減らして対応しましょう。
ただ、クラッチペダルを床まで踏んだ状態でエンジン回転数が高くなっても半クラッチにすると回転数は下がってくるのでそこまで意識しなくても大丈夫です。
2000回転~2500回転程度であれば問題ないでしょう。
エンジン回転数を早めに上げる
坂道発進で難しいのは短時間でエンジン回転数を高くしてからクラッチペダルを操作しなくてはいけないからです。
時間がないので焦ってしまい、アクセルペダルを踏みすぎたり、アクセルペダルを途中で戻してしまってエンストしてしまうんです。
早いタイミングから半クラッチ操作をしてしまうとクラッチ焼けの原因になるのでできませんが、エンジン回転数を高くすることはできます。
多少燃費は犠牲になりますが、慣れるまでは前のクルマが動きだしそうになったら少し早めにエンジン回転数を高くして待つようにすると良いでしょう。
エンジン回転数を高めにしてアクセルペダルを安定させておけば、あとは半クラッチ操作だけなので割と楽に坂道発進ができます。
前のクルマが発進してからサイドブレーキを解除する
サイドブレーキを解除するタイミングが早すぎると前のクルマに追いついてしまって慌てる原因になります。
慣れるまでは前の車が動き始めてもあわてず、ワンテンポ置いてから発進したほうが安心です。
オススメの練習方法
坂道発進の手順に慣れるために最初は平らな場所で坂道発進してみると良いでしょう。
平らな場所であれば下がる怖さもありませんし、坂道が少ない地域でも場所に困らないからです。
平地で練習して落ち着いて発進できるようになったら、交通量の少ない緩い坂道でさらに練習していくと安心です。
練習をする時に注意すること
練習するときには短時間に坂道発進の手順を繰り返しすぎないように注意してください。
坂道発進の手順はクラッチに負担をかけやすいからです。
2,3回坂道発進の練習をしたら1、2分程度クルマを休ませてから練習を続けるようにします。
クラッチのすり減りなども気になる部分ではありますが、クラッチ板の温度さえ上がりすぎなければそこまで心配することではありません。
途中で休みを入れながら練習をすると良いでしょう。