
ホンダN-VANに積まれている先進安全技術”Honda SENSING”。
“Honda SENSING”はダイハツの先進安全技術”スマアシⅢ”とどういった違いがあるのか、機能について比較してみます。
“スマアシⅢ”と”Honda SENSING”の比較

機能的にはこのような違いがあります。
先進安全技術は場合により車種によって機能が違うことがあるので今回の記事はN-VANとハイゼットカーゴに絞った内容となります。
ではそれぞれの項目を解説していきたいと思います。
センサー方式
これはどのようにクルマや人を検知しているかという部分です。
N-VANの”Honda SENSING”では単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせています。
単眼カメラとは一つのカメラという意味で、映像によってクルマや歩行者の識別や対象との距離を測ります。
単眼カメラの長所は映像で判断することから形により明確にクルマや歩行者を識別できます。
短所は距離を正確に測ることが難しいことがあり、距離に関しては精度が落ちる可能性があります。
そして、映像で識別するため精度は周りの明るさや天候に依存します。
具体的に言えば夜は精度が落ちますし夕暮れ時の逆行にも弱く、雨などに対しても精度が大きく落ちます。
そしてミリ波レーダーはミリ波というある一定の周波数の電波を前方に飛ばして距離を測る方式です。
戦闘機などに積まれているレーダーを思い浮かべてもらえればわかりやすいと思います。
長所は電波の反射によって距離を測るため正確に距離が測定できます。
さらに、遠距離になっても距離が正確に測定可能です。
また、電波なので周囲の明るさに依存せず夜でも正確に距離が測定可能で雨などの天候でも安定性が期待できます。
短所は形状を特定するのが難しく、道路脇のガードレールなどにも反射してしまうため識別が難しくなる点です。
さらに、電波なので金属が含まれていない物体からの反射は弱くなり、歩行者などの識別に対して非常に弱いです。
そこで、お互いの短所を補うことで精度を上げた方式が単眼カメラ+ミリ波レーダー方式です。
この方式はトヨタやマツダなども採用している方式となります。
ミリ波レーダーは以前高価だったため一部高級車を除いてカメラ、もしくは赤外線レーザーレーダー(赤外線の反射で距離を測る)が使われてきました。
ですが、ミリ波レーダーの値段が下がったため今ではミリ波レーダーが幅広く使われるようになってきています。
次にハイゼットカーゴの”スマアシⅢ”についてです。
“スマアシⅢ”ではステレオカメラ方式という横に並んだ2つのカメラを使った方式になります。
人間の目と同じように2つのカメラで捉えた映像の違いから距離を測定します。
このシステムの長所は単眼カメラと同じように映像で判断するため歩行者やクルマなどの識別がしやすいことです。
そして、単眼カメラで問題だった距離の測定の問題もカメラが二つになることによって精度が上昇します。
人間も両目で見ているときには簡単な物をつかむという行為も片目だけだと苦労しますよね。
それと同じで1つのカメラが2つになると距離の測定がしやすくなります。
そして欠点としては単眼カメラと同じように夜や逆行、悪天候に弱いこと、そして状況によっては距離の測定精度が落ちることです。
この方式はスバルの”アイサイト”や、スズキの一部の車種に採用されています。
緊急ブレーキ
N-VAN、ハイゼットカーゴ共に自動車と歩行者に対応していますが、自転車含む二輪車などに対しては両車種共に非対応となっています。
歩行者に関してもN-VANに関しては身長1m以上から2m未満に対応していますが、ハイゼットカーゴではそういった情報は非公開となっています。
緊急ブレーキ(自動ブレーキ)作動速度域
これは自車がどれくらいの速度の範囲内にある時にシステムが作動するかという数値で、衝突を回避(衝突前に止まったりなど)できる速度とは違うため注意が必要です。
N-VANではクルマに対しては自車の速度が約5km/h以上で、なおかつ対象との速度差が約5km以上ある時に作動します。
歩行者に対してや、停止車両、対向車に対しては自車の速度が約5km/h~約100km/hの範囲で作動します。
対するハイゼットカーゴではクルマに対しては自車の速度が約4km/h~80km/hの時で、尚且つ対象になる車との速度の差が約4km/h~80km/hの範囲の時に作動します。
そして自車の速度が約80km/h~100km/hの範囲にあるときには衝突を警告してくれる衝突警報機能のみ作動して緊急ブレーキは作動しません。
歩行者に対しては自車の速度が約4km/h~50km/hの時に作動します。
また、緊急ブレーキによる衝突を回避できる速度はハイゼットカーゴで速度差が約4km/h~30km/hです。
N-VANに関しては衝突回避可能速度は公開されていません。
誤発進抑制制御
ブレーキとアクセルの踏み間違いなどが起きた際に事故を防ぐ機能です。
前方、または後方に障害物がある状況でアクセルを強く踏むとエンジンの出力を制限して急発進を防ぎます。
最近ではエンジンの出力制限だけではなくブレーキ制御もかかる車種もあります。
両車種共にエンジンの出力を制限するのみでブレーキ制御はかかりません。
また、両車種共に自車の速度が約10km/h以下で前方もしくは後方に障害物がある状況で作動します。
オートハイビーム
この機能をONにしてハイビームを作動させておくと自動的にハイビームとロービームを切り替えてくれる機能です。
N-VANでは約30km/h以上で走行中、ハイゼットカーゴでは約25km/h以上で走行中に対向車や前走車がいないときにハイビームに自動で切り替わります。
この速度以下で走っているときには常にロービームとなります。
N-VANでは+STYLEの4グレードにのみオートハイビームが装備されています。
ハイゼットカーゴは”スマアシⅢ”が付いたグレードすべてに装備されています。
先行車発進お知らせ機能
信号待ちなどで前の車に続いて停止している際、前の車が発進して一定距離進んだにもかかわらず自分の車が停止したままの際にはお知らせをしてくれる機能です。
N-VANの場合、前の車と自車の車間距離が10m以内でかつ前の車と自車が一定時間停止している際、前の車が発進、もしくは発進して少し進んだときにお知らせをしてくれます。
お知らせタイミングでは設定によって”標準”(前の車が3m以上進んだときにお知らせ)と”早め”(前の車が発進したときにお知らせ)の2段階で設定できます。
また、この機能はAT車では”Dレンジ”もしくは”Lレンジ”でブレーキを踏んでいる場合と”Nレンジ”でブレーキペダルを踏んでいるかもしくはパーキングブレーキが作動している際に有効になります。
MT車の場合は”Rギア”以外の時にブレーキペダルを踏んでいるかもしくはパーキングブレーキが作動しているときに有効になります。
ハイゼットカーゴでは前の車と自車の車間距離が10m以内でかつ自車が一定時間停止している際、前の車が発進して3m以上進んだときにお知らせをしてくれます。
販売店にてお知らせタイミングを変更することが可能になっています。
この機能は”Dレンジ” “2レンジ” “Lレンジ”でブレーキを踏んでいるとき、もしくは”Nレンジ”で作動します。
車線逸脱警報機能、車線逸脱抑制機能
この機能は車線をはみ出しそうになった際に警告をしてくれる(車線逸脱警報)、もしくは警告をしつつはみ出さないように制御(車線逸脱抑制)をしてくれる機能です。
N-VANの場合には車線逸脱警報機能、車線逸脱抑制機能の両方が付いています。
機能の内容としては約60km/h~100km/hで走行中に白線もしくは黄線をはみ出しそうになると警告音とともに警告表示を行い、さらにハンドル操作が必要な場合にはハンドル操作の支援も行います。(はみ出したのが実線で、かつ大きくハンドル操作が必要な際にはブレーキをかける制御がかかることもあります。)
ウインカーが付いていたり、ワイパーが連続で動く状態になっている時には作動しません。
また、運転手の運転操作も監視していてアクセルやブレーキ、ハンドルの操作量や頻度から”運転している”とシステムが判断した時にも作動しないようになっています。
その他、車線内を走行していない際や車線が狭すぎる際、カーブの内側にはみ出して走行している際には機能が制限されます。
カスタマイズ機能によって2つの機能のオン/オフ、制御のタイミング(遅め、標準、早め)や車線逸脱抑制機能(ハンドル操作やブレーキ操作によるアシスト)のオン/オフを切り替えることができます。
次にハイゼットカーゴの場合には車線逸脱警報機能のみ搭載されています。
機能の内容は約60km/h以上で走行中に白線もしくは黄線をはみ出しそうになると警告音とともに警告を表示します。
ウインカーが付いている際や、ウインカーが消灯してから4秒間は作動しません。
他にも以下の状況の時に機能が作動しません。
- 車線内を走行していないとき
- カーブ内側にはみ出して走行している時
- 急なハンドル操作などによって運転手が回避操作をしている時
- 車線逸脱警報機能が作動してから2秒以内の時
また、機能を切りたいときにはスマアシⅢをオフにするスイッチを短く押すことによって車線逸脱警報機能をオフにできます。(”スマアシⅢ”をオフにするには2秒以上スイッチを押し続けるとオフにできます)
車線維持支援システム
この機能はドライバーのハンドル操作を補助して車線内を走行することをアシストしてくれるシステムです。
簡単に言えばハンドルに手を添えていれば車線の真ん中を走るようにクルマがハンドルを動かしてくれます。
ただ、車種やメーカーによってどの程度アシストしてくれかが変わってくるため、ある程度のカーブまでハンドルを切ってくれる車種や直線とほぼ直線に近いかなり緩いカーブにしか対応していない車種など様々なレベルがあります。
自動運転とは異なるため常にドライバーがハンドルに手を添えてクルマの動きを監視する必要があります。
主に高速道路や自動車専用道路で使うことを想定されているため、一般道で使うことはとても危険な機能なので注意しましょう。
この機能はN-VANのAT車のみに搭載されています。
さて、ではN-VANのこの機能はいったいどういった働きをするのでしょうか。
N-VANに積まれているこのシステムはLKASと呼ばれ、フロントガラス上部のカメラによって左右の白線や黄線を認識してアシストしてくれます。
自分の車の速度が約65km/h~100km/hの間で走行していて、左右両側に白線、もしくは黄線が引かれている直線か半径230m(R230)以上の緩やかなカーブを走行しているときにスイッチを入れると作動します。
白線(黄線)が検知できないときや、ワイパーが”連続”で作動している時、ブレーキを踏んだりウインカーを出している間は作動しません。
急なハンドル操作をしたりカーブがきつかったり、ドライバーがハンドルから手を離すと機能が自動的に一時解除されます。
車線が狭すぎたり広すぎても反応しない可能性があるなど様々な条件があり、ドライバーは常にしっかりと前を見ている必要があります。
歩行者事故回避支援
この機能は歩行者と事故の可能性がある時に事故に対してハンドル操作などによって回避操作を支援する機能です。
N-VANに積まれている歩行者事故低減ステアリングは、路肩の白線(黄線)と歩行者を認識して自車が路肩を歩いている歩行者に向かっていくと警告とハンドル操作の支援を行います。
この機能は直線でかつ白線(黄線)が実践で自車の速度が約10km/h~40km/hの範囲で作動します。
ワイパーを連続で作動させている時やウインカーを作動させている時、路肩の線がないときには働きません。
この機能のON/OFFは車線逸脱抑制機能とセットになっています。
クルーズコントロール
ドライバーが設定した速度を維持してくれる機能です。
前の車の速度に合わせて自車の速度を調節してくれる機能を持ったものはACC(アダプティブクルーズコントロール)と呼ばれます。
N-VANのAT車のみにACCが標準装備されます。
標識認識機能
路上の標識を認識してメーターなどのディスプレイに表示する機能です。
N-VANに積まれているこの機能は 以下の標識を認識します。
- 速度標識
- はみ出し通行禁止
- 一時停止
- 車両進入禁止
この4つの標識を認識します。
これのうち、”一時停止”と”車両進入禁止”は約60km/h以下で作動します。
ウインカーを出しながら右左折を行うと現在表示されている標識情報が消えます。
こういったスマアシⅢとHonda SENSINGにはこのような機能が搭載されています。
機能の数自体はHonda SENSINGがとても多いですね。
自動ブレーキ性能などはメーカーによる差も大きいです。
直接の比較にはなりませんが、最新のホンダN-BOXとダイハツムーブキャンバスのJNCAPによる予防安全性能の試験結果は以下のようなものになります。
N-BOX “76.6点 / 79点”
ムーブキャンバス “56.6点 / 79点”
このような数値になります。
試験結果でもHonda SENSINGのほうが良い成績が出ていますね。
先進安全機能で選ぶなら、高機能で予防安全性能での試験結果も良好なHonda SENSINGを積んだN-VANのほうがオススメとなります。
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