シフトアップは問題ないのにシフトダウンだけ硬くて入らない・・・そんな症状ありませんか?

MT車のトラブルは複雑怪奇
トラブルが複雑怪奇なことがあるのはMTに限らないですが、MT車の場合には使い方や操作の癖などの要素が加わることで尚更複雑です。
クラッチの状態やトランスミッションの状態も関わってきますし、操作によって簡単に状態が変わってしまうのも複雑さに拍車をかけています。
シフトダウンが重くなる理由は2つ
トランスミッションが原因の場合
一つは間違った操作による摩耗や、走行による摩耗などが原因でトランスミッションが傷んでしまっている状態です。
この症状の時には無理してシフトダウンするとギア鳴きを起こすことがあります。
この場合にはトランスミッションを修理するか、ダブルクラッチなどのシンクロの負担を減らすテクニックが必要になります。
場合によってはシフト操作に関係するパーツの調整や交換が必要になることがあります。
他にも、MT内部のシンクロ関係のパーツに癖がついてしまっている時もシフトダウンが異様に硬くなることがあります。
その際にはギアをNに動かすとき(ギアを抜く時)に素早く動かすようにすると改善することも。
この場合にはギア鳴きは起こりません。
クラッチが原因の場合
クラッチ関連部品が摩耗によって傷んでいる場合や、クラッチの表面状態が悪化していることでギアが入りにくくなることがあります。
クラッチ関連部品が傷んでしまっている場合には修理が必要ですが、表面状態が悪化していることが原因の場合には操作の仕方を変えることで改善が可能な可能性が高いです。
原因を見極めるには
実際のところ見極めるのは非常に難しいです。
ただ、ある程度の目安は付けられることがあります。
トランスミッションが原因の場合
特定の1つのギアのみ硬い
これはシンクロが傷んでいる場合の特徴で、傷んで摩耗の限界に達したギアのみで入りが悪くなっている状態です。
シフトアップ、ダウン共に素早くシフトをするとギャーっというギア鳴きの音がします。
ただ、1速と2速のみ硬い場合にはこれに当てはまらない可能性があります。
シフトダウンで軽い力でもギアが鳴く
シフトダウンで素早く操作すると、シフト操作自体は重くないのにギアがギャーと鳴く場合にはトランスミッション内部のパーツが傷んでいます。
基本的にトランスミッションはギアの回転差がある状態では入らないようになっているのですが、思いっきり力を入れるとギアが鳴きます。
それが軽い力でもギアが鳴くようになったらシンクロが傷んでいます。
クラッチが原因の場合
停止時にNでクラッチを切ってから3秒以上待ってギアを入れても毎回ギアが重くて入らない
基本的に停止時は3秒程度待てばトランスミッション内部の回転が止まるので、本来はギアがすんなり入るのが正しいです。
しかし、3秒以上待ってもギアが入らない場合にはクラッチ板が損傷してクラッチが切れていない可能性が高いです。
クラッチの交換、もしくはクラッチ調整が必要になります。
症状的にはギアの入り口で引っかかってしまう形で、ギアの入り口を過ぎて最後のひと押しが入らない場合はこれにあてはまりません。
また、一つか二つのギアには入らないけれど他のギアには入る場合や症状が時々起きるだけの場合にはこれに当てはまらないです。
2速や1速へのシフトダウンだけが硬い
2速や1速へのシフトダウンがやたら硬くて入らないのにシフトアップは問題ない。
そんな場合にはクラッチの表面状態が悪化している可能性が高いです。
この症状の特徴はギアの入り口でカチカチに硬い状態で、力を入れるとシフトダウンができます。
また、シフトアップではギャーという音が鳴ることはありません。
さらに、停止時に1速はRギアに入れる際に最後のひと押しが入らずに引っかかるといった症状も併発します。
クルマによってはシフトアップでゴリゴリとした感触があることもあります。
この場合でもギャーっというギア鳴きの音が鳴ることはありません。
半クラッチの領域が狭くなることも特徴です。
クラッチジャダーが起きている
クラッチジャダーが起きている状態でシフトダウンが硬い場合にはクラッチの状態が原因です。
停止時にはギアの入り口で引っかかることがなければ表面状態が原因、毎回ギアの入り口で引っかかって入らない場合にはクラッチ板自体が損傷しています。
表面状態が悪い場合には停止時にギアを入れたときに最後のひと押しが入らない症状が出ることがあります。
クラッチの表面状態が悪いときには改善が可能
クラッチの表面状態が悪いのが原因となっている時にはクラッチ操作を変えることで対処が可能です。
- 停止時にギアを入れると最後のひと押しが入らない
- シフトダウンが硬い
- 半クラッチが狭くてシビア
上記の症状があるときには表面状態が悪いです。
また、下記の症状が出ることもあります。
- シフトアップでゴリゴリすることがある
- ゆっくりシフトアップすると引っかかる感触がある
こういった症状も表面状態の異常です。
ちなみにクラッチは軽く匂いがしたくらいで痛むことはまずありません。
表面状態を良くするには?
まず、半クラッチの始まりの部分(クラッチ板が当たり始める部分)を使いすぎないように注意しましょう。
半クラッチの始まりの部分を使いすぎるとクラッチジャダーの原因になることもあります。
そして、半クラッチ操作の際に出来るだけアクセルペダルを動かしすぎないように意識してみましょう。
半クラッチ操作の際にアクセルペダルを動かしすぎてしまうとクラッチ板の状態が悪化してギアの入りが悪くなることがあります。
常に一定というのは無理でも、アクセルペダルを動かしすぎないように意識するのが大切です。
クラッチが適切に切れているかの診断も大切
こうしたトラブルは整備工場に持ち込むことも検討してください。
クラッチ板が完全に損傷してしまっている場合には早期に修理することでトランスミッションへのダメージを減らすことができるからです。
こうした文章で説明しても実際の症状と結びつかないこともありますし、経験豊かな整備士であれば的確な診断も可能でしょう。
少なくともクラッチが適切に切れているかどうかの診断は早期にしてもらうべきです。
新車保証の期間であれば購入ディーラーに相談するのが良いです。
もし新車保証が切れてしまっている場合には信頼できる整備工場を選びましょう。