MT車はシフト操作の自由さが特徴ですが、低回転で走るのはなぜだめなのでしょうか?
MT車は自由だからこそ
MT車はその自由度も魅力の一つですよね。
ですが、自由度があるからこそ注意しなくてはいけないポイントも。
今回はそうした注意ポイントの一つを紹介していきます。
MT車で低回転で走るのは良くない
MT車ではシフト操作のタイミングを自由に選べます。
つまり、パーツにダメージを与えるような走り方もできてしまうんですね。
MT車でシフト操作のタイミングが原因でダメージを与えてしまうのは、クラッチなどの駆動系やエンジンです。
エンジンの回転数がキーになっています。
エンジンを高回転にして走ることは摩耗の面で良くなかったり、レッドゾーンに入ってしまえばエンジンが壊れてしまうことはなんとなく想像できるかもしれません。
実は低すぎるエンジン回転数もクルマに良くない運転なのです。
低回転で走ることが良くない理由
エンジンに良くない
ノッキングということばを聞いたことはないでしょうか?
低すぎるエンジン回転数で無理やり走らせすぎるとノッキングが発生します。
ノッキングとはエンジン内部で異常燃焼が起きることです。
基本的に高い回転数で起きるノッキングは設計や故障に起因することですが、低い回転数で起きるノッキングは運転が原因になります。
ですから、ノッキングを避けるには低いエンジン回転数でエンジンに頑張らせすぎることを避けるのが良いです。
ノッキングはカリカリとかチリチリとした音で判断することができます。
よく言われる半クラッチを失敗した時にガクガクとなる現象はカーノックと呼ばれる現象で、今回取り上げたノッキングとは違います。
クラッチに良くない
今のクルマはクラッチ板やフライホイールなどクラッチ関係の部品にスプリングが組み込まれています。
これはクラッチを繋いだ時の衝撃を和らげたり、エンジンからの振動を和らげる役目があります。
特に最近のクルマは燃費をよくするためにエンジンが低回転の状態で走れるように柔らかく衝撃を良く吸収するスプリングになっています。
衝撃をよく吸収するということはその分、スプリングが良く働いていることになるわけですが、良く働く分スプリングの耐久性は落ちていきます。
自動車メーカーもそのあたりは考えて設計していますからすぐに壊れるということはありません。
しかし、寿命が短くなってしまうことは確かなので低回転すぎるのはだめなんです。
トランスミッションにも良くない
エンジン回転が低すぎると、クラッチに伝わる振動が大きいということはお話しました。
クラッチのスプリングで振動を和らげる理由として、快適性を上げたいのと同時にトランスミッションの耐久性を上げるという理由があります。
振動が増えるとトランスミッションにも悪影響があるのでそういう風になっているのですが、スプリングの許容値があります。
エンジン回転が低すぎる状態ではスプリングの許容値を超えてしまってトランスミッションにも悪影響なんです。
どれくらいの回転数で走れば良い?
基本的にエンジンからの振動を目安にします。
クラッチ関係のスプリングの許容値を超えてしまうと車体全体が大きく振動しますから、そういう場面ではギアを一つ下げてエンジン回転を上げましょう。
ただし、近年のクルマではかなり低いエンジン回転数から加速しようとしても大きな振動が起きないクルマもあります。
そういったクルマではエンジンの音なども参考にすると良いでしょう。
具体的なエンジン回転数というのは難しいですが、おおむね1500回転以上であれば大きな問題にはならないでしょう。
もし、シフトタイミングを教えてくれるインジケーターが付いているのであれば、それに従ってシフトを行えばまず大きな問題にはなりません。
クラッチの耐久性を気にするなら少し高めのエンジン回転を維持しても良いかもしれません。
低回転でアクセルを強く踏まないことも大切
最近のクルマはエンジン関連の技術の発達によって低いエンジン回転でも十分なパワーを持っています。
ところが、そのパワーは振動となってクラッチなどのパーツに伝わることになります。
低いエンジン回転ではパワーの波が大きくなってしまうことから振動が大きいのですが、アクセルを強く踏むと振動が大きくなります。
強く加速したいときには適切なシフトダウンも意識しましょう。
クルマにとって振動は敵
振動というのはクルマにとっては良くないものです。
勿論乗り心地にも影響ありますから、人にも良くないものです。
走行中のエンジンからの振動というのは様々なところに影響を与えるものですから、エンジンからの振動を感じたらシフト操作のタイミングを変えるなどの対策が大切です。
最近のクルマにはシフトインジケーターと呼ばれる適切なシフトタイミングを教えてくれる機能もありますから、そういった機能も活用しつつ適切な操作をしてあげると良いでしょう。
シフトインジケーターが付いていないクルマでも、エンジンからの音や振動などからクルマにとって、人にとって快適な走りを目指しましょう。