クラッチの遊びは適切ですか?
クラッチとペダルを繋ぐもの
クラッチ板一式とクラッチペダルは距離があります。
それを繋ぐために何かしらの構造が必要となるわけですね。
基本的にクラッチはワイヤーを使ってペダルと繋ぐタイプと、油圧を使っているタイプがあります。
それぞれ長所短所がありますが、今のクルマは油圧を使っているタイプが多いです。
軽自動車のMT車はワイヤー式
軽自動車の場合にはパワーも小さいのでクラッチ板を動かすのに必要な力も小さいです。
そのため、今のクルマは油圧を使ってクラッチペダルとクラッチ板を繋いでいるクルマが多いものの、軽自動車のMT車ではワイヤー式がほとんどとなっています。
但し、ホンダS660やビートなどの場合には油圧式を採用しています。
クラッチ板の厚みによって変わるもの
クラッチ板は消耗品ですから摩耗します。
摩耗していけばクラッチ板自体の厚みが薄くなってきます。
厚みが変わるのでその分調整が必要な部分が出てくるんですね。
これがクラッチ調整です。
ワイヤー式は調整が必要
クラッチ板自体の厚みが変わりますから本来は必ず調整が必要になります。
油圧式の場合にはその構造上クラッチ調整自体が自動になるので、手動でのクラッチ調整が必要がありません。
これはクラッチペダルとクラッチ板が油圧によって繋がっているから出来ることです。
ところが、ワイヤー式の場合にはクラッチ板まで物理的に繋がっていることから手動でのクラッチ調整が必要になります。
油圧式の場合には調整は必要ありません。
クラッチ調整をしないとどうなる?
クラッチ板が減っていくとともにクラッチペダルの踏み始めの部分の遊びが減っていきます。
クラッチの踏み始めの遊びが残っているうちは問題ありませんが、遊びがゼロになるとクラッチペダルを軽く踏んでいるのと同じ状態になります。
そのまま使っているとクラッチペダルから足を離していても半クラッチ状態になってクラッチ板が焼けたり、半クラッチが続くのでどんどん摩耗してしまいます。
つまり、クラッチが滑ってしまうんですね。
クラッチが滑っていなくても遊びがゼロの状態だとレリーズベアリングというパーツが常に仕事をする状態になってしまい、故障の原因になります。
クラッチ調整はいつ必要?
基本的にクラッチの踏み始めの遊びが少なくなったらクラッチ調整が必要です。
ここで大切なのはクラッチの遊びはクラッチペダルの重さが変わるポイントという点です。
足だとわかりにくいかもしれませんが、クラッチペダルを手で押していくと初めの部分で重さが変わるポイントがあります。
クラッチペダルから手を離した状態から、重さが変わるポイントまでが遊びになります。
これが極端に少なくなってきたらクラッチ調整が必要となります。
クラッチ調整は自分で出来る?
調整自体は簡単な作業なので自分でも可能です。
ただし、メーカーごとに調整方法が違ったりしますし、車種によっては場所が違うこともあります。
調整には基本的にクラッチペダルを踏み切った時にクラッチ板がしっかりと離れていること、クラッチペダルの踏み始めにしっかりと遊びがあること、この2点が大切です。
クラッチ調整の失敗は故障に繋がる
クラッチ調整はコツさえわかれば大丈夫です。
しかし、調整を失敗してクラッチペダルを踏み込んでもクラッチ板がちゃんと離れないような調整をしてしまった場合、トランスミッションの故障の原因になります。
つまり、クラッチペダルを床まで踏んでいても半クラッチ状態になってしまうことがあるということですね。
トランスミッションの故障は高価ですから、リスクが大きいです。
知識がなく慣れていないのであれば整備工場やディーラにお願いするのがよいでしょう。
軽自動車のMT車はクラッチの遊びを定期的に確認することが大切
基本的にクラッチの遊びはそこまで大きく変化するものではありません。
クラッチ板自体がそんなに早く擦り減らないからです。
もし、遊びが大きく変化することがあったなら、クラッチトラブルか半クラッチを多用したことによるクラッチの摩耗が原因の可能性が高いです。
ワイヤー式の場合、ワイヤーの伸びによってクラッチペダル踏み始めの遊びが増えることもあります。
その場合、クラッチペダルを床まで踏んでも半クラッチ状態が続いてしまい、トランスミッショントラブルの原因になります。
定期的に遊びを確認することでこうした高額修理を回避することができますからクラッチ調整は重要なんですね。