マニュアル車ではシンクロの強さによって1速ギアや2速ギアへのシフトダウンのしやすさが変わることがあります。
しかし、実は運転方法を見直すことでもシフトダウンのしやすさが変わるんです。
1速ギアや2速ギアへのシフトダウンが硬いとき
1速ギアや2速ギアへのシフトダウンが硬いときには摩耗や故障が原因の時と、クラッチやMT本体についた癖が原因の時があります。
摩耗や故障が原因の時には修理するしかありませんが、クラッチやMT本体についた癖が原因の時には運転方法を変えることで改善することができます。
しかも、実はちょっとした運転の癖がギアの入りにくさに繋がっているんです。
だからこそ多くの人がトラブルを抱えやすかったりします。
シフトダウンが硬くなる運転の癖
- クラッチペダルを動かすスピードが速すぎる
- 発進の時にクラッチペダルの位置を一定にしていない
- シフトノブを操作するときの力が安定していない
- 走行中にエンジン回転数を下げすぎない
このあたりの癖がシフトダウンの硬さに影響します。
対処法
クラッチペダルを動かすときには丁寧に動かすようにする
クラッチ板を減らさないために半クラッチは短く、一気につなぐという話があると思います。
確かに半クラッチを短くすることでクラッチ板の減りを抑えることはできます。
しかし、半クラッチを短くするためにクラッチペダルを素早く一気に動かしているとギアが入りにくくなる原因です。
クラッチペダルを踏むときに関しては一気に踏んでも問題はありませんが、ギアチェンジなどでクラッチペダルを戻してくるとき(クラッチを繋ぐとき)には左足を素早く動かしすぎないように注意しましょう。
あまりゆっくり動かしすぎてもクラッチがすり減る原因になってしまいますから、丁寧に動かすことを意識すれば良いと思います。
発進の時にはクラッチペダルの動きを途中で止める
発進するときには半クラッチの途中で左足の動きを止めて、一定の半クラッチ状態を作ることが大切です。
発進するために半クラッチ状態を作ったら、クラッチペダルの動きを止めてクラッチが完全に繋がるまで左足を動かさないようにします。
この時、半クラッチが弱すぎるといつまでたってもクラッチが繋がらないので、アクセルペダルの踏み込み量に対して適切な半クラッチになるように注意しましょう。
エンジン回転数がすこしずつ下がるくらいの半クラッチ操作が適切です。
シフトノブを操作するときの力が安定していない
ギアチェンジでシフトノブを操作する力が安定していないとギアが入りにくくなる原因になることがあります。
ギアチェンジの際には次のギアに入れはじめたらできるだけ一定の力で押すように心がけてましょう。
走行中にエンジン回転数を下げすぎない
走行中のエンジン回転数が低すぎる状態で走っているとギアが入りにくくなってしまうことがあります。
エンジンからの振動が原因でMT内部のパーツに悪影響が出てしまうんです。
走行中はエンジン回転数が低くなりすぎないように適切にギアチェンジをするようにしましょう。
目安としてはエンジンからの振動で、グググっと振動が発生するエンジン回転数を避けるようにしてください。
1速ギアや2速ギアに入っている時には低いエンジン回転数でも問題ありませんが、3速以上のギアでは低くなりすぎないように注意してください。
目安として一定速度で走っている時にはエンジン回転数が1000回転を下回らないように、加速時には1500回転以下にならないようにしましょう。
なぜギアが入りにくくなる?
これは振動が大きく関わっています。
発進時にクラッチ操作で発生した振動や、ギアチェンジでシンクロが仕事をした際の振動などがギア同士を揺らしてしまってギアに癖を付けてしまいます。
ギアに癖がつくとMT内部の状態が悪くなり、抵抗が増えたりしてギアチェンジが上手く行かなくなるんです。
抵抗が増えるだけではなく、キューンという異音やNでクラッチを繋いでいる時に異音が出る原因になることもあります。
ギアチェンジのフィーリングも変わってくるので操作を安定させることはとても大切なんですね。
必ず良くなるわけではないけれど
走行距離が進んでいたりするとギアチェンジの時に仕事をするシンクロが摩耗して効きが悪くなっていることがあります。
そうするとシフトダウンやシフトアップにかかる時間が長くなってしまいます。
しかも時間を短くしようとして力を入れるとギア鳴きと呼ばれるギア同士がぶつかる音がしてしまうのです。
とはいえ、新車でもギア鳴きが起こってしまうクルマも存在しますからギア鳴きしていても摩耗が原因とも限らないのが難しいところです。
ギア鳴きが毎回起こるようになってしまってもクルマの運転操作の癖を直すとギア鳴きが収まることもあるからです。
ただし、ギアが硬くて入りにくい場合にはシンクロの摩耗というよりも上で説明したクラッチの使い方が原因の可能性も十分あります。
症状に悩んでいる時には運転を見直してみるのも一つの手でしょう。
修理が必要な症状
停止時にクラッチペダルを床まで踏んでいてもすべてのギアが硬くて入らない場合にはクラッチが切れていない可能性があります。
もしその時にエンジンを切ればギアがすんなり入るのであれば、何らかの理由でクラッチペダルを床まで踏んでいてもクラッチ板が触れたままになっている可能性が高いです。
これは修理が必要な症状で、放置しているとMT本体を壊してしまう危険な症状です。
早めに修理工場に持っていきましょう。
シフトダウンが硬いときの対処法まとめ
- クラッチペダルを動かすスピードが速すぎる
- 発進の時にクラッチペダルの位置を一定にしていない
- シフトノブを操作するときの力が安定していない
- 走行中にエンジン回転数を下げすぎない