今回はマニュアル車でエンジンをかけるときの正しい手順についてです。
MT車でエンジンをかける手順
- 必要があればキーを差し込む
- クラッチペダルを床まで踏み込む
- ギアをNにする(Nになっていることを確認する)
- ブレーキペダルを踏む
- エンジンをかける
- クラッチペダルから足を離す
- ブレーキペダルから足を離す
MT車のエンジンをかける際の手順は基本的にこの7ステップです。
安全面を考えるとこの7ステップは必ず守るべきです。
ただし、最後の6と7はすぐに発進する場合には必要ありません。
あくまでエンジンをかけた後にブレーキペダルから足を離す際の手順です。
MT車でエンジンをかける際に大切なこと
ギアがNになっていることを確認する
これはどこかのタイミングで必ず確認が必要です。
エンジンかけた後でも良いのですが、間違ってクラッチペダルを戻してしまうと事故の危険性もあるのでエンジンをかける前に必ず確認するようにしましょう。
エンジンをかけてクラッチペダルは一度も離さずにそのまま発進するのであれば確認作業は要りませんが、そうでないときには必ず確認してください。
ブレーキペダルを踏む
これはギアが入ったままエンジンをかけてしまった時に誤発進を避けるためです。
しっかりとブレーキペダルを踏んでおけばギアが入った状態でクラッチペダルから足を離してもエンストするだけで済みます。
エンジンをかけた直後はエンジン回転数が高めになっていることが多いのでクラッチペダルから足を静かに離しただけでも簡単に発進してしまうので注意が必要です。
また、エンジンをかけた後には先にブレーキペダルから足を離してしまうと意味がないのでクラッチペダルから足を離して、そのあとブレーキペダルから足を離すようにしましょう。
N状態でもクルマの動きに注意する
Nに入っていればクルマは動かないという認識があると思います。
しかし、実は条件によってはNでもクルマが動いてしまうことがあります。
N状態ではギアが繋がっていないのでエンジンの力で直接動くことはありませんが、実はオイルの抵抗によってかすかに力が伝わってしまうことがあるんです。
サイドブレーキがしっかりかかっていればまず動くことはありませんが、下り坂などでサイドブレーキが緩くてギリギリ止まっている状態ではクラッチペダルを離した瞬間にクルマが動き始めることがあります。
ですから、N状態でもクラッチペダルから足を離したりブレーキペダルから足を離すときにはクルマが動かないか注意しておきましょう。
カギはいつまで回したら良い?
基本的にエンジンがかかったらすぐにカギから手を離すようにしてください。
エンジンがかかった時点でエンジンをかけるためのモーターは必要ありませんから、エンジンがかかったらすぐにカギを戻して大丈夫なんですね。
逆にエンジンがかかった後もカギを回し続けてしまうとパーツの摩耗が発生するので注意が必要です。
それですぐに故障するわけではありませんが、クルマに良いことではありません。
最近のボタンでエンジンをかけるクルマの場合には一瞬ボタンを押すだけであとは自動的にエンジンをかけてくれることが多いので、その場合には一瞬ボタンを押すだけで大丈夫です。
エンジンをかける時に困ったら
カギが回らない
金属のキーを鍵穴に差して回すタイプのクルマではステアリング(ハンドル)ロックが作動しているとカギが回らないようになっています。
これは盗難防止機能の一つで、エンジンを切ってキーを抜いたあとにハンドルを左右どちらかに回すとステアリングロックが作動します。
ハンドルを回さなければ作動しない機能ですが、ハンドルを回してステアリングロックが作動してしまうと次にエンジンをかけるまでステアリングロックは作動したままになります。
最近のクルマに採用されているボタンでエンジンをかける車種の場合にはステアリングロックは自動で解除されるのでこの作業は基本的に必要ありません。
対処法
ハンドルを左右に動かしながらカギを回せばステアリングロックを解除することができます。
ごくまれにボタンでエンジンをかける車種でもステアリングロックが解除できない場合がありますが、その時にもハンドルを左右に動かしてあげれば解除される可能性があります。
また、ボタンでエンジンをかける車種でステアリングロックが解除できないことが頻発した場合には故障の可能性があるので整備工場で診てもらいましょう。
ステアリングロックが作動していないのにカギが回らない場合には故障の可能性が高いのでその場合にも整備工場で点検が必要となります。
エンジンがかからないとき
ガソリンエンジン
ガソリン車の場合にはバッテリー上がりなどのトラブルによってエンジンがかからないことがあります。
その時にはエンジンをかける際の音も元気がない音になっていたりすることも。
その場合にはバッテリーチャージャーを繋いで充電するか、他のクルマのバッテリーと繋ぐことでエンジンをかけることができます。
MT車の場合には”押しがけ”ができます。
押しがけは手押しでクルマを動かしながら、クラッチペダルを踏み込んで2速ギアに入れてそのままクラッチペダルから足を離してエンジンをかける方法です。
MT車はタイヤとエンジンが繋がっているのでタイヤの回転でエンジンをかけることができるんですね。
ただ慣れないと危険ですし、触媒などにダメージを与えることもあるので注意が必要です。
一番確実なのはJAFや保険会社のロードサービスに助けてもらうことです。
エンジンがかからない場合にはバッテリー以外にもプラグかぶりや別のトラブルなどの可能性もあるので症状を判断してもらうのも良いかもしれません。
ディーゼルエンジン
ディーゼルエンジンは寒い日にエンジンがかかりにくくなってしまいます。
これは構造上仕方ないもので、その対策としてディーゼル車にはグロープラグと呼ばれるものが標準装備されています。
ディーゼルエンジンはグロープラグを熱することで寒い日にエンジンをかけやすくしているんです。
しかし、グロープラグを熱するためには多少時間が必要ですから、ディーゼル車でエンジンをかける時にはカギを一気に回さずにONの位置(エンジンはかからないけれども警告灯が点く位置)で一旦止めた後にエンジンをかけるようにすると良いでしょう。
グロープラグを熱している時には予熱表示灯が点灯しているので、予熱表示灯が消えたらエンジンをかける準備ができたことになります。
予熱表示灯については取扱説明書に詳しい解説が載っているので良く読むことをオススメします。
ボタンでエンジンをかける車種の場合には自動的にグロープラグが作動するので特別な操作は必要ありません。
また、ガソリン車と同様にバッテリーなどのトラブルによってエンジンがかからないことがあります。
クラッチスタートシステムが作動している時
今のMT車にはクラッチスタートシステムが装備されています。
これはクラッチペダルを踏み込まないとエンジンがかからないシステムです。
ギアが入った状態でエンジンをかけた際の事故を防ぐシステムなのですが、クラッチペダルをある程度踏み込まないとエンジンがかかりません。
ですから、クラッチペダルの踏み込みが浅いとカギは回ってもエンジンがかかりません。
その場合にはクラッチペダルをしっかり踏み込めばエンジンがかかるでしょう。
MT車でエンジンをかける時に大切なことまとめ
- エンジンをかける前にNに入っていることを確認する
- ブレーキペダルを踏みながらエンジンをかける
- エンジンがかかったらすぐにカギから手を離す
- エンジンをかけたらクラッチを離してからブレーキを離す