マニュアル車で重要な半クラッチついてです。
半クラッチとは?
半クラッチとはクラッチ板が滑っている状態のことです。
逆にクラッチの滑りがゼロの状態を”クラッチが繋がっている”と表現します。
クラッチペダルを全く踏まない状態ではクラッチは繋がった状態(=滑りがゼロの状態)です。
そこからクラッチペダルを踏んでいくと途中からクラッチが滑り始めます。
そして最終的にクラッチが完全に離れてエンジンが切り離された状態になります。
クラッチが完全に離れた状態を”クラッチが切れている”と表現します。
つまり、クラッチペダルを踏んでいくとクラッチが繋がった状態からクラッチが滑り始めて、最終的にクラッチが切れるということです。
この内クラッチが滑っている状態のことを半クラッチと呼ぶんですね。
クラッチはなぜ必要?
MT車ではタイヤからエンジンまで直接繋がっているのが特徴です。
直接繋がっているのでタイヤの回転が止まるとエンジンも止まってしまいます。
そこで、クラッチの登場です。
クラッチによってエンジンとタイヤの繋がりを切ることでエンストを防いでいます。
また、ギアチェンジの際にもクラッチがとても大切です。
ギアチェンジではエンジンを切り離すことが必要だからです。
クラッチはエンジンとギアに間に付いているのでクラッチペダルを踏み込めばエンジンとギアを切り離すことができます。
ですからギアチェンジの時にはクラッチペダルを踏み込むことが必要なんですね。
半クラッチはなぜ必要?
クルマは止まっている時でもエンジンが回転しています。
アイドリングストップ装置が付いていれば停止時にはエンジンが止まることがありますが、発進する直前にエンジンを回転させる必要があります。
エンジンは回転が止まった状態ではパワーがゼロだからです。
逆に言うとエンジンが回転していないと発進することはできないんですね。
そしてエンジンが回転している状態でいきなりクラッチを完全に繋いでしまうとエンジンの回転が止まるか、もしくはクルマが急発進してしまいます。
そこでクラッチをいきなり繋がずにちょっとずつ滑らせて繋いでいくことが必要になるんです。
これが半クラッチです。
また、発進以外でもスムーズにクルマを動かすために半クラッチが使われる場面が存在します。
つまり、エンジンからの力をスムーズに伝えるために半クラッチが必要なんですね。
半クラッチのコツ
- 半クラッチが始まるポイントをつかむ
- クラッチを切るときは素早く繋ぐ時は丁寧に
- 半クラッチを使いすぎない
- ショックを出さないようにする
- 無理して短くしようとしない
半クラッチが始まるポイントをつかむ
クラッチペダルは完全に切れた位置から床まで少し遊びがあります。
逆に言うとクラッチペダルを床まで踏んだ状態から半クラッチが始まる場所までは少しだけ距離があるんです。
半クラッチを使う時にはクラッチペダルを床まで踏んだ状態から素早く半クラッチが始まるポイントに動かす必要があります。
もし半クラッチが始まるポイントがわからないとクラッチペダルを動かしすぎてエンストさせてしまったり、動かし足りなくて上手く半クラッチに出来ないことも。
半クラッチが始まるポイントをつかむのはMT車の運転でとても大切なんですね。
半クラッチが始まるポイントをつかむ方法
これは実際にギアを入れてクラッチペダルを動かすことで覚えます。
まずは平らで前後にクルマがいない場所(サイドブレーキを解除してもクルマが動かない場所)でクラッチペダルを床まで踏んでギアを1速に入れます。
そこでブレーキペダルを踏んでサイドブレーキを解除して、ゆっくりとブレーキペダルから足を離します。
ブレーキペダルから足を離してもクルマが動かなければ、床まで踏んだ状態のクラッチペダルをゆっくりと戻してきます。(この時アクセルペダルは一切踏みません)
そしてクラッチペダルをある程度戻すとクルマが少しずつ動き始めます。
これが半クラッチが始まるポイントです。
クルマが軽く動いたらクラッチペダルを床まで踏み込んでクルマの動きを止めます。
それからクラッチペダルを動かして・・・と同じことを何度も繰り返すことで半クラッチが始まるポイントをつかむことができます。
ただ、ここで注意すべきポイントがあります。
実は半クラッチが止まるポイントというのはクラッチ板の温度によって少し変わってくるんです。
完全にここという場所を覚えるのではなく、半クラッチまでの足の動かし方をつかむようなイメージが良いでしょう。
半クラッチを使いすぎない
基本的に長い半クラッチはクラッチ板が減りやすくなるので避けたほうが良いでしょう。
それに、半クラッチを使いすぎてしまうとクラッチ焼けにつながることもあるので注意が必要です。
とはいえ、多少長く半クラッチを使ったくらいでは焼けにはつながりません。
シフトアップでクラッチが繋がる前に強くアクセルペダルを踏み込むことを繰り返したり、アクセルペダルを強く踏みながら長く半クラッチを続けたりするとクラッチの温度が上がってしまってクラッチ焼けにつながります。
クラッチ焼けが起きると車内に異臭がしてくるのですぐに気づくでしょう。
一瞬、温度が上がってしまったくらいではクラッチが壊れることはありませんが良いことではないので注意しましょう。
また、坂道発進で失敗したりすると多少異臭がすることがありますがすぐに収まるのであれば問題はありません。
クラッチが焼けた匂いがした後、停止時にすべてのギアに入らなくなったり強い力を入れないとどのギアにも入らないようになってしまったら熱でクラッチ板が歪んでしまっている可能性があります。
その場合には一度、整備工場で点検してもらうことも検討しましょう。
ショックを出さないようにする
半クラッチで1度や2度ショックを出してしまうだけでは特に問題は起きませんが、日常的に繰り返すとトラブルの原因です。
半クラッチは丁寧にショックを出さないように気を付けましょう。
無理して短くしようとしない
半クラッチは短いほうが良いのですが、短すぎるのも問題です。
特に発進時は短くしようとしてエンジン回転数が下がりすぎてしまうことがあります。
アイドリング回転数(Nで何もしていない時のエンジン回転数)より下がってしまったりするとエンジンがガタガタ振動してしまってクルマに悪影響があります。
半クラッチを短くするのは大切ですが、適切なエンジン回転数を保てるように適切に半クラッチを使いましょう。
半クラッチはスムーズかつ短くが基本
半クラッチは短くするのが基本です。
半クラッチを使う時間を減らすとクラッチ板の摩耗が減るからです。
とはいえ、ショックが出てしまえばその分、クラッチやMT本体の寿命が縮んでしまいます。
半クラッチを短くしつつ、スムーズな半クラッチを目指しましょう。