MT車の存在意義ースポーツカーにMT車は必要ないのか?-

まず、一つの記事をご紹介します。

「スポーツカーにMTって、まだ必要ですか?」スープラ開発責任者・多田哲哉氏に聞く(後編)

これは新型スープラの開発責任者のインタビューです。

内容は読んでいただければわかりますが、MTの部分に限って言えば “この手のハイパワー車では進化したATの方が速く快適で開発に関してもメリットが大きい” ということです。

では、MT車とAT車のメリットデメリットからお話していきましょう。

 

MT車とAT車のメリットに関して

MT車のメリット

クラッチペダルがあることにより、より細かく車を制御できる

テクニックを磨く努力が必要で、努力が実った時の喜びがある。

高効率。

整備が安い。

適切な操作をすると故障をする可能性がとても低くなる。

 

AT車のメリット

常に適切な制御を行ってくれる。

MTモードがあればスポーツ走行を含め適切な回転数を選択できる。

速い。

どれだけ速く走ってもトランスミッションが壊れる可能性が低い。

ハンドル操作やアクセル、ブレーキ操作に集中できる。

自動変速モードがある。

 

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MT車とAT車のデメリット

MT車のデメリット

不適切な操作をすると車を壊すことがある。

速く走ろうとするとトランスミッションの寿命が短くなる。

オーバーレブの可能性がある。

ハイパワー車ではクラッチペダルが重くなる。

出来の良いAT車より遅い

 

AT車のデメリット

部品点数が多く、繊細な機構のため適切に扱っていても壊れる時は壊れる。

効率が低い。

修理費がとても高い。

出来の悪いATだとシフトショックが出る。

シフトショックはドライバーの腕でカバーできない。

ATの制御は設計者が考えた制御しかしてくれず、ドライバーの考え通りには動いてくれない。

 

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MT車の技術的メリットは少ない。

大パワー車ではMTはクラッチを壊す可能性は高くなりますし、速さにおいてもMT車では最新のAT車には叶いません。

またMT車ではシフト操作をドライバーに依存する以上、ダウンシフトにおけるオーバーレブ(エンジンを回しすぎること)によるエンジンの損傷や、不適切なシフト操作によるミッションの損傷を招くこともあります。

修理費に多大なお金がかかりますし、ドライバーが操作をする以上クラッチに癖がつきやすく、クラッチトラブルも起こる可能性が高いです。

その点、スポーツカーに採用されているツインクラッチ式MTではクラッチ操作含めシフト操作を車が行う為、不適切な操作が起こらないためトラブルを予防できる利点があります。

 

AT車は常識の範囲内ならどんなことをしても壊れない物として扱われる。

ツインクラッチ式MTではクラッチ板が存在するため、MT車と同じようにクラッチを焼く可能性があります。

しかし、ユーザーはAT車として乗るため、坂道でブレーキを使わずにアクセルを踏んで車を停止状態を維持したりすることがあります。

これを行えばクラッチ板が焼け、トラブルが発生する可能性が高いです。

同様に、ATには使われる機構によって”やってはいけないこと”が存在しています。

本来であれば”やってはいけない”と書いてあることなのでそれを行ったユーザーの責任なのですが、大抵の場合ユーザーは故障する車が悪いと考えます。

 

レーシングカーもオートマチックの時代。

現代ではレーシングカーもオートマチックと同じようにスイッチでシフト操作をします。

MTよりも素早く的確に操作をしてくれて、クラッチなどに気を取られない分よりドライビングに集中でき、速いです。

その為、レーシングカーと同じように操作ができるパドルシフト付きのスポーツカーは人気が高いです。

そういったスポーツカーの謳い文句は大抵の場合 “速く完璧なシフト操作”です。

レーシングカーのような素早いシフトで、MT車よりも速い加速が売りなのです。

MT車では速く走ろうとすると必ず寿命が縮まります。

場合によってはその操作によってすぐにMTが壊れてしまうこともあるくらいです。

AT車も厳密には寿命は短くなりますが、ほとんど問題にならないレベルです。

どれだけ激しく走ってもよほどのことがない限り、即壊れてしまうことはありません。

現代のAT車は “速く” “正確”で”快適”な車なのです。

 

スポーツカーはレーシングカーではない。

スポーツカーはレーシングカーよりも遅いです。

街中を走る車ですから当然ですね。

さらに、場合によってはスポーツカーよりレーシングカーのほうが安い場合もあります。

また、レーシングカーはレースを目的に作られている車ですからサーキットなどではスポーツカーよりも速く、楽しく走ることができます。

サーキットで走ることを好むスポーツカー愛好家が車をチューニングする理由はスポーツカーではサーキットを走らせるには不十分だからなのです。

レーシングカーとスポーツカーは似て非なるものです。

 

日常でAT車の速さは必要ない。

スポーツカーのAT車ではシフトの速さが利点として挙げられますね。

しかし、日常においてシフトの速さを実感することはありませんし、そもそもシフトが速くてもそれは車が速いだけで”達成感”はありません。

 

日常でのAT車のMTモードは使いにくい

基本的にMTモードはATのギア選択を手動にしたものです。

制御は車が行っていますから条件によってはシフトショックが発生しますし、そのシフトショックを消すことはMT車を上手く運転することよりも難しくほぼ不可能に近いです。

要するにメーカーの技術力次第なんですね。

また、AT車のMTモードでは自動でダウンシフトが行われます。

これは低回転でエンストを防いだり、再加速ができるようにするための機能ですが、MTモードで問題になるのはここです。

例えば、停止しかかって自動で3速から2速にギアが落ちた際に、再加速が必要となったとき、ドライバーが3速のままだと勘違いをしてダウンシフト操作をすると1速にダウンシフトされます。

こういった誤操作がMTモードでは問題となるのです。

それを防ぐには自動ダウンシフトが働く前に手動でダウンシフトを行うことが必要ですが、本来ダウンシフトはエンジンブレーキを利かすために使われるのではなく、再加速の準備のために行われるものです。

要するに”不適切なシフト操作”を強要されるのです。

さらに、それを行うことによって状況によっては意図しないシフトショックが発生することがあります。

すべては”メーカーの設計次第”なのです。

そこにはドライバーの技術力は関係ありません。

さらに言えば、街中は自動変速モードで十分です。

 

MT車の楽しさの一つ、”達成感”

何かが達成できた時、人間は喜びを感じます。

AT車でも確かに”達成感”はあります。

例えばサーキットであればコンマ何秒ラップタイムが縮んだとか、どれだけ綺麗に扱えたか、などです。

しかし、MT車ではそれに加えてシフト操作も”達成感”として加わります。

さらに、シフト操作は街中でも”達成感”が味わえるのです。

AT車の場合は日常で味わえるのはシフトダウンによる”エンジン音”や、強い加速をしたときの”スリル”です。

それらは不要なダウンシフトや、場合によっては危険にもなりえる強い加速が必要となります。

ですが、MT車であれば日常的に”達成感”も味わえ、いかに上手く扱えたかは速さやスリルとは関係ないため、ゆっくり走っていても”達成感”を味わえるのです。

そういったことが見過ごされてきたMT車の本当の魅力なのです。

 

MT車をいかに上手く扱えるかは自分次第

AT車で走りを決めるのはハンドル操作とアクセル、ブレーキ操作のみです。

シフト操作は特に考えなくても必要となったらパドルなどを操作するだけで十分ですし、自動変速モードでも十分上手くやってくれます。

ただし、AT車ではシフトショックなどの制御に起因することはドライバーではどうすることもできません。

また、いくら速くてもそれは自分の腕ではなく道具である車の力なのです。

しかし、MT車ではクラッチ操作やシフト操作も加わってきます。

それを上手く操作できるかどうかはドライバーである自分次第なのです。

 

人間はロマンと情熱と憧れに生きる

人がスポーツカーに憧れたのはなぜでしょう?

それは誰もが簡単に誰よりも速く走れるからでしょうか?

私は違うと思います。

人がスポーツカーに憧れるのは、それを”努力”して手足のように扱っているドライバーを見て、それと同じようにスポーツカーを”努力”して扱う自分を夢見るからです。

確かに、スポーツカーの後ろにある歴史や技術力は重要です。

それはメーカーが歩んできた”努力”の歴史だからです。

“努力”をして歴史を造り、”努力”をして技術を作るからこそ価値があるものです。

戦隊ヒーローを思い浮かべてください。

お金をばら撒いて何の努力もなしに悪者を退治するヒーローは存在するでしょうか?

ヒーローは必ず”努力”をします。

それを子供たちは見て、自分たちも同じように”努力”をしようとするのです。

スポーツカーを作るなら、ロマンや情熱、憧れといったものを理解することは私は必要だと考えます。

 

最後に一つ。

自動車にスポーツカーってまだ必要ですか?

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