前回CVT車のメリットについて書いていきましたが、デメリットはあるのでしょうか?
メリットは多いけれども・・・
CVT車のメリットは数多く、日本市場においてはそのメリットを生かすことができることは前回お話しましたね。
しかし、すべてのものには良いところと悪いところがあります。
勿論CVTにもデメリットは存在します。
そもそもCVTってどんな構造?
ボッシュによるCVTの説明です。
簡単に言えば、金属ベルトを円錐形のプーリーで挟んであり、プーリーにかけた圧力を変化させることでギア比を切り替えています。
遊星歯車を使った従来型のATに比べると構造が簡単です。
この動画の説明ではベルト式のCVTを説明していますが、他にもスバルなどが使っているチェーン式のCVTなどがあります。
日産のトロイダルCVTなどもありますがここでは割愛。
基本的に今のCVTはベルト式がメジャーです。
CVTのデメリットとは?
効率が悪い
燃費が良いはずのCVTなのに効率が悪いとは・・・?
そんな風に感じる方もいるかとおもいます。
CVTはあくまでエンジンの効率が良い部分を使うことで良好な燃費を実現するトランスミッションです。
CVT単体の効率は従来型のAT(ステップAT)にすら劣ります。
CVT単体での効率が良くない理由は、プーリーを押し付けるために高い油圧が必要だったり、微細な滑りによって効率が落ちてしまうからです。
そうした理由で、CVT自体の効率はあまり良くないのです。
とても繊細
CVTはとても繊細なトランスミッションです。
従来型のATも繊細でしたが、CVTはさらに上を行く繊細なトランスミッションです。
基本的にトランスミッションフルード(トランスミッション油)の交換は専用の機械を使って行われるべきで、交換の際に微細なゴミが入るだけでも故障の原因となります。
耐久性が良くない
これは普段の使い方や運も関係してきますが、従来型のステップATに比べると耐久性は低いです。
ステップATに比べると歴史自体も浅いですし、その繊細さも耐久性に影響しています。
但し、長持ちする場合もありその時には従来型のATと遜色ない耐久性となります。
発進加速が良くない
CVT車はスピードが出た状態でも良い燃費を確保するために発進加速が犠牲になっていることがあります。
スズキなどはCVT以外に2段のトランスミッションを組み合わせることでカバーしていましたが、変速ショックなどがあったため評判は良くありませんでした。
しかし、ダイハツのD-CVTやトヨタのダイレクトシフトCVTなど高速と低速を両立する技術も出てきています。
低速時のエンジンブレーキが強すぎる
CVT車はその特性上、停止する際にシフトダウンが必要です。
さらに、燃費を良くするためにエンジンブレーキを有効活用する目的もあり、減速時には積極的にシフトダウンを行っています。
無段変速なので明確なシフトダウンがあるわけではありませんが、停止直前にはかなり強いエンジンブレーキが効くことがあります。
速度の微調整がしにくい
CVT車でアクセルを踏んでいる時にはエンジン回転が1000回転前後の最も燃費が良くなる領域を使って走っています。
しかし、アクセルを離すとエンジンブレーキを効かせて燃料をカットするためにシフトダウンを行います。
大抵1200回転くらいを維持するのですが、微妙に速度を落としたかったときにはこの制御が邪魔になります。
1000回転前後で走っていてほんの少し速度を落としたいときには、1200回転のエンジンブレーキは強すぎるのです。
特に緩い下り坂では緩い加速と緩い減速の2択となり、一定速度を維持することが困難になる制御です。
CVT車でアクセルを踏んだり離したりしがちなのはこういった理由もあります。
再加速が常にワンテンポ遅れる
エンジンを低回転で維持できるCVTですが、その反面、再加速の際にワンテンポのタイムラグが発生します。
これは従来型のATでも発生することです。
ですが、CVT車の場合には加速度合いが少なくても発生するのが特徴で、エンジン回転が上がるまでは一瞬加速が悪い領域が発生してしまいます。
最近のCVTはかなり改善されていますが、時々感じることがあるデメリットです。
勿論メリットもある
日本の自動車メーカーがCVTを採用するのはそれだけメリットがあるからです。
デメリットを考えても日本の環境ではメリットがあるから採用するんですね。
CVTは固定したギア比がないことでエンジンを効率良く使えますから、様々な状況で燃費や加速が良くなります。
ダイレクト感は足りないですが、スムーズなので日本みたいに街乗りが多い環境にはぴったりなんですね。
デメリットがあっても・・・
このようにデメリットも多いCVTですが、エンジンの小さいクルマにはメリットが多いトランスミッションです。
フィーリングが良いとされるCVTも多いですし、マニュアルモードやパドルシフトがあるCVT車も存在します。
デメリット自体は他のトランスミッションでも存在しますから、自分の使い方や乗り方を考慮して選ぶのが良いでしょう。