最近では標準装備されることの多い自動ブレーキ。
今回は装備概要や作動条件について書いていきます。

自動ブレーキって何?
自動ブレーキとは事故が起こりそうな状況でクルマが自動的にブレーキをかけてくれるシステムのことを指します。
あくまで事故が起こりそうな状況で作動するというのが重要です。
自動ブレーキが登場した当初は、自動運転と勘違いされることもあり、メーカーによってはあえて自動という言葉を使わないようにしていたメーカーも存在します。
メーカーごとに呼び方があり、センサーの方式などはメーカー・車種ごとに様々です。
センサーの方式によって癖があり、得意な状況も変わってきます。
搭載されているシステムによって対応速度や、対象(歩行者・クルマなど)も変わってきます。
つまり、同じ時期に販売されている車種であっても搭載されているシステムが違うと機能がかなり違う場合があります。
自動ブレーキにはどんな機能がある?
自動ブレーキの一番メインの機能は危険な状況でブレーキをかけることですが、それ以外にも危険な状況でブレーキを踏む力をアシストしたり、危険な状況になりそうなときに警告する機能などがあります。
また、システムによってクルマのみに対応しているものや、歩行者にも対応しているもの、二輪車にも対応しているものなど様々です。
最近ではバックの際にも作動する自動ブレーキが付いているクルマも多くあります。
自動ブレーキの作動条件は?
作動条件に関してはシステムによって様々ですが、大まかな方向性は決まっています。
クルマの速度が対応範囲にある
自動ブレーキには対応しているスピードがあります。
これは主にセンサーの能力による限界です。
上限スピードに関しては、カメラやセンサーで検知できる限界距離とそのクルマのブレーキ性能によります。
センサーで検知できる距離に入った時点でブレーキが間に合わなければ止まれないということですね。
そして大切なのが下限スピードの存在です。
自動ブレーキシステムには下限スピードが設定されていることが多いです。
これはセンサーの検知精度の問題で低速になると誤差によって危険性を正しく判断できない場合があるからです。
大抵の場合、クルマの取扱説明書などに記載されています。
また、表記されている速度は自動車メーカーが自社で試験を行った上で、ある程度しっかりと作動するスピードを記載しています。
ですから、例えば取扱説明書に時速10キロ以上と記載されていても時速5キロで作動することもあるということですね。
ただし、その場合には正常に作動する確率というのは下がります。
前進中とバック中では対応スピードに違いがあります。
衝突しそうな障害物がある
自動ブレーキは基本的に障害物があるときに作動するシステムです。
対応している障害物に関しては、その自動車メーカ―の考え方やシステムの制限によって変わってきます。
たとえば、あるクルマではクルマ・歩行者に対応していても自転車やバイクに対応していなかったり、自転車やバイクも含めて対応しているものがあったりします。
さらに、メーカーによっては障害物があってもカメラでクルマ・歩行者・自転車・バイクなどの形が識別できなければ警告のみ作動して、自動ブレーキは作動しないようになっているメーカーもあります。
つまり、どんなに大きくても、落下物には自動ブレーキが作動しないメーカーがあるということになります。
ちなみにこういった条件は前進中の自動ブレーキとバック中の自動ブレーキで違います。
障害物がセンサーの範囲にある
自動ブレーキはセンサーを使っていますから、そのセンサーには検知範囲があります。
その範囲内を外れてしまうと検知精度が落ちたり、検知ができなかったりします。
検知範囲は積まれているシステムによって変わってきます。
また、前進中の自動ブレーキとバック中の自動ブレーキでは使われているセンサーが異なる場合が多く、その場合にはセンサーの検知範囲も違います。
運転手が衝突しそうな操作をしている
クルマの動きは運転手の操作によって変わってきます。
衝突しそうな条件に関しても運転操作によって変わってきますから、クルマは常に運転手の操作を監視しています。
例えば前方に衝突しそうなクルマ居る時にアクセルを踏んだままの状態とアクセルを離した状態では衝突の危険度が変わってきますから、警告のタイミングや自動ブレーキの作動タイミングも変わってきます。
運転手が意図的に操作をしていない
自動ブレーキはあくまで支援機能になります。
ですから、運転の主体は運転手自身になります。
そのため運転手自身がハンドルやブレーキ・アクセルを意図的に操作をしている時には自動ブレーキは作動しないようになっています。
意図的に操作をしているかどうかなので、明確に操作しているかどうかが基準です。
たとえば、ハンドルを大きく動かしていたり、ブレーキを踏んだ後に離したりすると意図的な操作とみなされることがあります。
このあたりはメーカーの考え方や、そのクルマが設計された時期によります。
共通しているのはドライバーの意志を邪魔しないように造られているということです。
また、運転手が意図的に操作をしていて自動ブレーキが作動しない条件であっても警告だけは行うなどメーカーも工夫している場合が多いです。
大切なのは取扱説明書を読むこと
こうした自動ブレーキの作動条件や対応速度などに関しては基本的に取扱説明書に記載されています。
作動しない条件や注意事項なども記載されているのでしっかり確認することが大切です。
また、クルマの販売に関わっている人でも正しく把握することは難しく、誤解している場合があるので注意が必要です。
自動ブレーキは支援システム
自動ブレーキはあなたを事故から救ってくれるとても有用なシステムです。
どんな条件でも作動するわけではなく、想定された条件で安定して作動するものです。
つまり、作動しないときがあって当然ということですね。
あくまで危険な状態にならないように支援してくれるシステムですから、過信しないことが大切です。
また、100%作動しないと意味がないのかといえばそんなことはなく、付いていればあなたを助けてくれる可能性があるのです。
自動ブレーキは事故を減らすことのできる良い装備なんですね。