今回はアルトワークス(HA36S)の電スロには癖がある、という話です。
電スロって何?
電子制御式スロットルのことを略して電スロと呼びます。
エンジンに入る空気の量を制御する装置をスロットルと言い、スロットルはアクセルペダルの操作によって空気の量を決めます。
昔はスロットルとアクセルペダルがケーブルで直接繋がっていました。
つまり、アクセルペダルの動きがそのままスロットルの動きになっていたんですね。
ところが、ある時期からはスロットルはモーター制御になり、センサーによってアクセルペダルの踏み込み量を検知してそれに合わせてコンピュータがスロットルを動かすようになりました。
これが電子制御式スロットルです。
電スロには癖がある
電スロは最終的にコンピュータがスロットルの動きを決めます。
基本的に燃費や快適性を考えるとスロットルは穏やかに動かすのが最も良いです。
ですから、アクセルペダルの動きはコンピュータに補正された上でスロットルの動きに繋がります。
そうしたクルマごとの補正の癖がドライバーにとってはダイレクト感のない印象に繋がったりして電スロはダメだと言われる原因になります。
アルトワークスの電スロの癖
アルトワークスで一番わかりやすい癖はアクセルペダルの動きに対してのスロットルの動き方です。
電スロではアクセルペダルの動きに対してどういう風にスロットルが動くかというのはコンピュータで自由に決めることができます。
つまり、踏み込み量に対してエンジンがどのくらいのパワーを出すかというのをメーカーがいろいろセッティングできるんですね。
アルトワークスでは、踏み始めからスロットルが大きく動くセッティングになっています。
基本的に踏み始めにスロットルが大きく動くセッティングだとドライバーはパワーがあるように感じるので、パワーの少ないクルマではこういうセッティングがされることも多くあります。
割とスズキ車の場合にはこういうセッティングがされていることが多いような気がします。
ただし、このセッティングをしてもアクセル全開した時の加速というのは全く変わりません。
なのでアクセルペダルの踏み始めは反応が良くても、後半になると踏んでも加速は変わらなくなるんですね。
不思議なのはそういったセッティングになっているのにアクセルペダルの微調整はとてもしやすいことです。
細かい動きにもちゃんと反応してくれるんですね。
エンジン回転を合わせる時はアクセルペダルを踏む量に対してかなりシビアなのでちょっと神経を使いますが、反応が良いのであまり気にはならなかったです。
アルトワークスの電スロの欠点
割と印象の良いアルトワークスの電スロですが、MT車には結構致命的な欠点がありました。
最近のクルマにはブレーキオーバーライド機能というのが採用されているのですが、それが誤作動するんです。
これはブレーキペダルとアクセルペダルを同時に踏むとアクセルペダルの踏み込みを無視してブレーキを優先する機能です。
欧州車ではかなり前から採用されていたのですが、国産車の場合は10年前まであまり採用されていなかった機能ですが、アルトワークスにも漏れなくこの機能は付いているみたいなんですよね。
MT車の場合、シフトダウンの時ブレーキペダルを踏みながらアクセルペダルを踏んでエンジン回転数を合わせるテクニック、”ヒール&トウ”を使うことがあります。
アルトワークスでこのヒール&トウを使おうとすると時々アクセルペダルが反応しないときがありました。
アルトワークスでアクセルペダルが反応しないとき
アルトワークスでは基本的にヒール&トウを使うことはできました。
”基本的に”と書いたのは条件によってはアクセルペダルの操作を受け付けてくれない瞬間があったからです。
アルトワークスがアクセルペダルの操作を受け付けてくれないのはブレーキペダルを踏み始めた直後の一瞬です。
たぶんブレーキオーバーライドの作動条件としてブレーキとアクセルがほぼ同時に踏まれたときというのがあるのでしょう。
これのせいでブレーキペダルを踏んで減速を始めた直後にはヒール&トウはできなかったんです。
ただし、完全に効かなくなるわけではなくて一定回転を維持することはできたので減速を待てばエンジン回転数を合わせることは可能でした。
とはいえ、ブレーキペダルを踏んでエンジン回転数を合わせたいときにエンジンが吹け上がらないのはテンポが狂って非常に怖かったのは確かです。
それ以来、ヒール&トウはブレーキペダルを踏んでワンテンポ待ってからするような癖がついてます。
おかげでシフトダウンのタイミングがずれることも・・・。
欠点はあれど
そんな風に欠点もあったアルトワークスですが、そこまでひどい制御でもなかったように感じます。
勿論、ケーブルで繋がっているような自然なフィーリングではありませんでしたが、ケーブル式にあるような”アクセルを踏む→エンジンが空気を吸う→エンジン回転が上がる”というラグがなく踏んだ瞬間から一気に拭け上がる部分は悪くなかったように感じます。
ただし、フィーリングとしてはコペンのほうがケーブル式に近く、幾分か自然で扱いやすいのですが・・・。