
走りを売りにするクルマや高級車に多いFR。
FR車のメリットとデメリットとはなんでしょうか?
FR車のメリットとデメリット
今は少なくなってしまったFR車ですが、その構造にはちゃんとしたメリットがたくさん存在します。
そういったメリットがあったからこそ、FR車が主流の時代もあったんですね。
もちろん、メリットではなくデメリットもいくつかあり、そのデメリットこそがFR車が少なくなった原因です。
FR車のメリット
- パワーを大きくしても安定している
- 小回りできる
- 走っている時のフィーリングが良い
- 実用性と走行性能のバランスが良い
- タイヤの減り方のバランスがFF車より良い
- 路面の状態が良いときは加速時に安定している
FR車のデメリット
- 室内が狭くなる
- 価格が高くなる
- 燃費が悪くなる
- 雨や雪の日に不安定になりやすい
以上がFR車のメリット・デメリットです。
では、ここからはそれぞれの項目についてなにがそもメリット・デメリットにつながっているのか詳しく説明していきます。
そもそもFRって何?
FRはフロントエンジンリアドライブ(英語だとFront-engine,Rear-wheel-drive)の略です。
日本語に直せば前方エンジン、後輪駆動となります。
エンジンが前にありパワーが後輪に伝わるということですね。
現在ではFRを使うクルマは一部高級車やスポーツカーに多く、大衆車に分類されるクルマではまず使われることはありません。
FR車の特徴
後輪にパワーがかかる
加速時には重心が後ろに引っ張られて後輪に、より多くの重さがかかります。
加速時には後輪に、より多くの重さがかかるので前のタイヤより後ろのタイヤのほうがしっかりと地面に押し付けられて安定します。
FR車は後ろのタイヤにパワーを伝えるので、エンジンが大きくなってパワーが増えても安定しやすいのが特徴です。
また、乾いた路面では緩い加速の時にも押さえつけられている分、安定したフィーリングになりやすいです。
ただし、雪や雨で滑りやすいときには後輪が滑ってスピンしやすくなってしまう欠点も。
また、加速時には後ろから押す形になるので、雪の日の上り坂で不安定になって登れなくなってしまうことが多々あります。
リアにエンジンのあるRRのほうが後輪に、より多くの重さがかかりますがRRに比べるとFRは実用性があります。
エンジンを縦に積んでいる
FR車は基本的にエンジンが縦向きに積まれています。
エンジンというのは大抵縦に長くなるものなので、FR車はエンジンルームの両端にスペースを作りやすいです。
その結果、タイヤを動かす幅を取りやすくなるので小回りがきくように設計することができます。
ただし、エンジンが縦に積まれていることは欠点にもつながります。
エンジンが縦に積まれている分、エンジンルームが長くなるので室内空間が狭くなってしまうんです。
そのため、FR車は十分な室内空間を確保しやすい大型車か室内空間の広さが関係ないスポーツカーにしか使われないんですね。
ファミリーカーのボンネットがやたら短く、高級車やスポーツカーほどボンネットが長くなっているのはこれが理由です。
前輪と後輪で役割分担ができている
FR車では前輪はハンドル、後輪はパワーという風に役割分担ができています。
これによってハンドルに余計な力が伝わりにくく、走行フィーリングが良くなります。
役割分担ができている分、FF車のように前のタイヤだけが減ってしまうことがありません。
重量の前後バランスが良い
前にエンジンを積み、後ろのタイヤにパワーを伝えるのでクルマの後ろにもパワーを伝えるためのパーツがあります。
つまり、FF車に比べると後ろが重めになるんですね。
そうすると前と後ろの重さのバランスが良くなるので走りのフィーリングが良くなります。
勿論、真ん中にエンジンがあるMR車のほうがフィーリングが良くなりますが、実用性という面では前にエンジンがあるFR車のほうが優秀です。
実用性を持ちつつ、走行性能も両立しやすいんですね。
パーツが多い
FR車は前にあるエンジンから後ろのタイヤにパワーを伝える構造が必要になるので必然的に部品が多くなります。
部品が多くなるので価格を安くしにくい欠点も。
また、後輪にパワーを伝えるためのパーツが多くなるので燃費に関しても不利です。
FR車が少なくなったのはなぜ?
少しでも価格を安く作りたい
今のクルマは昔に比べると安全装備や快適装備が増えています。
自動車メーカーは設計時に無駄を省くことで価格の変化を減らすようにしています。
そういったこともあり、FFに比べるとパーツが多いFRより、FFレイアウトを使いたいんですね。
FR車は燃費に関しても不利なので、スポーツカーや大パワーを必要とする高級車以外ではなおさら使いにくいんですね。
室内の広さが求められる
大半のユーザーにとって大切なのは走行性能よりも室内の広さです。
室内を広くしたくてもトランクを削ってしまっては意味がないですから、そうなると削れるのはエンジンルームだけです。
そういった理由でファミリーカーではFR車よりもFF車のほうが設計しやすいんですね。
FF車の技術が進んだ
今は電子制御の技術が進んだことでFF車にパワーの大きなエンジンを積んでも悪影響が出にくくなっています。
そういったこともあり、以前はFR車じゃないと駄目だったサイズのクルマもFFになっています。
4WD車への偏見がなくなった
最近のスポーツモデルは4WDを使うことも珍しくありません。
少し前まではスポーツモデルには4WD車はふさわしくないという風潮もあり、大パワーのスポーツモデル・スーパーカーであっても後ろのタイヤだけにパワーを伝えるFR・MR・RRが主流でした。
4WD車というと重たくてFF車に近い走行特性を示すクルマという印象が強かったのが原因です。
しかし、日産GT-Rが登場した際に称賛されたことで流れが変わりました。
4WDを採用しても大丈夫だと感じた自動車メーカーが自社のハイパワースポーツモデルに4WDを採用するようになったのです。
元々、近年のスポーツカーはハイパワー化が進んでいたので、FRでは不足だったというのもあるのでしょう。
FR車はバランス型の駆動方式
このように市販車においてはデメリットも大きいFR車ですが、走行性能も考えた場合にはとてもバランスが良いです。
実用性を確保しつつも、走行フィーリングが良くパワーを大きくしても問題ないからです。
今の時代、FF車であっても速いクルマはたくさんありますがFR車のように走れるFF車は存在しません。
そもそもパワーを伝えるタイヤが違うからですね。
今でもクルマ好きに愛されるのはそういった理由があるのではないでしょうか。