MT車の運転を支えているシンクロナイザー。
リバースギアのシンクロを大事にしないと意外なトラブルが起きることも。
リバースギアのシンクロを大切にしないと起きること
軽自動車であればいまだにRギアにはシンクロは付いていませんが、普通車であればRギアにもシンクロが付いているのが普通です。
シンクロが付いていれば、ギア鳴きを起こさないので動いている時にRギアに入れてしまったり無茶なシフト操作をしてしまいがちです。
Rギアであればシンクロが弱くなっても大した問題にはならないですし、あまり気にすることではないように感じる方も多いのではないでしょうか?
確かにRギア専用シンクロが付いているクルマであれば問題ありません。
ところが、クルマによっては他のギア(4速や5速など)のシンクロをRギアで使っている場合もあるんです。
そういったクルマの場合にはRギアのシンクロを痛めることは4速ギアや5速ギアなどのシンクロを痛める結果につながり、前進中にギア鳴きが発生する原因になります。
Rギア専用シンクロがあるクルマであればそれほど気にする必要はありませんが、自分のクルマがRギア専用シンクロを持つかわからないのであれば用心しておくのが良いでしょう。
Rギア用シンクロを無くすのはなぜ?
今のクルマは燃費に対してとてもシビアです。
MTの設計に関しても同じで、少しでもMT内部の回転抵抗を減らすために工夫しています。
Rギアに関しても例外ではなく、Rギアに専用シンクロを使うとシンクロとギアで軽く引きずった状態になりMT内部の回転抵抗を増やしてしまいます。
とはいえ、Rギアにシンクロを付けないと車庫入れなどRギアを使う時にギア鳴きが発生してユーザーにとっては不便です。
勿論、Rギアに入れる前にクラッチを踏んだまま待ったり他のギアに押し当ててからRギアに入れることで対処は可能ですが、ユーザーからすると面倒なんですよね。
ですから、Rギア専用のシンクロを付けずに前進ギア用のシンクロを使うことで燃費を改善しつつMT内部の回転抵抗を減らすことができるんです。
リバースギアのシンクロの負担を減らすには?
クラッチペダルを踏んでから3秒以上待つ
NからRギアに入れる時にはクラッチペダルを踏んでから3秒以上待ってからRギアに入れることでシンクロの負担を減らすことができます。
Nでクラッチペダルを踏んでから3秒程度待つとMT内部の抵抗でギアの回転が止まるからです。
これはリバースギアに限らず使えるテクニックで、1速ギアに入れる時にシンクロの負担を減らすこともできます。
また、軽自動車などRギアにシンクロが付いていないクルマではこのテクニックを使うことでクルマにダメージを与えるギア鳴きを防ぐことができます。
前進ギアから直接リバースギアに入れる
前進ギアに入っている状態で停止すればMT内部の回転も一緒に止まっています。
そのまま直接Rギアに入れればどちらのギアの回転も止まっているのでリバースギアのシンクロを痛めることがありません。
リバースギアに入れる時は必ず停止時に行う
これはRギア専用シンクロを持っているクルマと、前進ギアのシンクロをRギアにも使っているクルマで効果が変わります。
Rギア専用シンクロを持っているクルマでは、停止時にRギアに入れることでシンクロ自体の負担を減らすことができます。
前進中だと回転数の差が大きくなってしまうからですね。
Rギアに専用シンクロを持たず、前進ギアのシンクロを使っているクルマではギアの回転を止めることはできてもRギアの回転数に合わせることはできません。
あくまでギアの回転を止めるブレーキとしての効果しかないんですね。
前進中にRギアに入れるためにはギアを逆回転させなくてはいけないんですが、それができません。
しかも前進ギアのシンクロを使っているので、ブレーキをかけられるのは前進ギアと同じ回転数までなんです。
つまり、こういったクルマで前進中にRギアに入れてしまうと前進ギアとRギアが同じ回転数にならないので、ギア同士の回転が合わずギア鳴きの原因になります。
そういった理由があるのでRギアに入れる時には完全停止時もしくは完全停止に近い状態ではないと駄目なんです。
トランスミッションは修理が高額になる
ATにしろMTにしろトランスミッションの修理は高額になるものです。
特にシンクロの摩耗といったものは目に見えない物なので、ギア鳴きなどの症状によって気づくことも。
症状が出てしまうと修理しか手がなくなってしまいます。
一度壊してしまえば自然に治ることはありませんから、普段から丁寧に扱うのが大切です。
停止時にギアを入れる時には1速、Rギア共にシンクロの負担を減らすために3秒程度待ってからギアを入れるように心がけるのが大切です。