今回の記事はマニュアル車の初心者向けの記事となります。
ギアが存在する理由やギアチェンジの必要性などについて解説していきます。
ギアが存在するのはなぜ?
これはエンジンの特性に関係します。
エンジンは高いエンジン回転数でパワーが出るようになっていますが、逆に低いエンジン回転数ではあまりパワーがありません。
また、エンジン回転数が高すぎると構造的にも負担が大きく燃費も悪くなってしまいます。
その為、ギアを用意してエンジン回転数を変えてあげる必要があるんです。
つまり、ギアというのはエンジン回転数を変換して伝える装置なんですね。
基本的にエンジンで走らせるクルマはギアが必要となります。
ギアの数字はどんな意味?
MT車のギアには1速・2速・3速・4速・5速・6速・Rといろいろなギアが存在します。
Rは後ろに下がるためのギアになり、数字が前進用のギアです。
前進用のギアは数字が小さいほどパワーがあり、数字が大きくなるほど低いエンジン回転数でスピードが出るようになります。
数字が小さいギアは低いギアと呼ばれ、数字が大きいギアは高いギアと呼ばれます。
ギアチェンジって何?
ギアチェンジとはギアを切り替える操作のことを言います。
AT・MT関係なくギアがあるクルマはギアを切り替える操作のことをギアチェンジと言います。
なぜギアチェンジが必要なのか?
ギア一つで低い速度から高い速度までカバーしようとすると問題が起きます。
それはパワーを確保しようとするとエンジン回転数が高くなりすぎてしまい、エンジン回転数を低くしようとするとパワーが足りなくなってしまうことです。
クルマを発進させるためには十分なパワーが必要になります。
しかし、速度が出るギアで発進しようとするとエンジン回転数が低くなりすぎてしまって発進することすらできなくなってしまいます。
だからと言ってパワーの出るギア一つでカバーしようとすると速度が高くなるにつれてエンジン回転数が高くなり、音がうるさくなり燃費も悪くなりますし物理的に摩耗が進んでしまいます。
エンジンにも耐えられる回転数がありますからエンジン回転数があまりにも高くなりすぎるのはダメなんですね。
ですからエンジン回転数に応じてギアチェンジが必要になるんです。
ちなみにエンジン回転数にはレッドゾーンというのが設定されています。
レッドゾーンというのはタコメーター(エンジン回転計)の赤い部分にあたります。
この範囲に入るとエンジンが壊れてしまうという意味なので、運転中はレッドゾーンに入らないように注意しながら走ることになります。
タコメーターがないクルマは取扱説明書のシフトダウンの項目を読むようにしましょう。
取扱説明書のシフトダウンの項目にはシフトダウンしても良い速度が書かれているからです。
その速度は必ず守るようにしてください。
覚えるのが苦手であればスピードメーターに印をつけることも考えましょう。
他にも後付けのタコメーターを取り付けるのも一つの手だと思います。
シフトアップとは?
シフトアップとはよりスピードが出るギア(より高いギア)に切り替えるギアチェンジのことを言います。
加速中・減速中関係なく今より高いギアに切り替えるとシフトアップになります。
シフトダウンとは?
シフトダウンとはよりパワーがあるギア(より低いギア)に切り替えるギアチェンジのことを言います。
シフトアップと同じく、加速中減速中関係なく今より低いギアに切り替えるとシフトダウンになります。
使うギアについて
発進時
基本的に発進には1速ギアを使います。
1速ギアは最もパワーがあるギアなので、1速ギアを使えば発進しやすいんです。
では発進できるのなら2速以上のギアで発進しても良いのかというと、そうはならないんですね。
MT車では発進時に半クラッチを使います。
半クラッチ時にはクラッチ板が摩耗していくのですが、1速ギアを使った時が一番摩耗が少なくなります。
2速ギアでも発進できないことはありませんが、発進時にクラッチ板が多く摩耗してしまうんです。
そうすると早めに整備が必要になってしまいますから2速以上のギアでの発進は良くないんです。
下り坂であればブレーキペダルから足を離すだけでクルマが動きだすので2速ギアで発進しても大丈夫です。
ですが、平地では1速ギアで発進するのが基本になります。
加速時
加速時にはエンジン回転数が高くなるにつれてギアを切り替えていきます。
この時、ギアを切り替えるタイミングは必要なエンジンパワーを考えながら決めていきます。
加速力が必要なときにはギアを切り替えるタイミングを遅らせて、エンジンパワーを有効に使って加速します。
加速力が必要ないときには早めにギアを切り替えてエンジン回転数を低くして燃費を良くします。
一定速度で走っている時
一定速度で走っている時には燃費を良くするためにエンジン回転数が低めになるギアを選びます。
平地であれば大抵のMT車でエンジン回転数が1500~2000回転程度になるギアを選べば大丈夫です。
ただし、頻繁に細かい加速が必要になる混雑した街中などでは2000~2500回転くらいになるようなギアを選んでも良いでしょう。
一番良いのは加速しないときには1500~2000回転になるギアを選んで、加速が必要になった時にもっとパワーが出るギアに切り替えて加速する運転方法です。
加速が必要になるタイミングを先読みしなくてはいけないので少し難しい方法ですね。
減速時
基本的には減速を始めた時のギアのまま減速していきます。
もっと低いギアにしても良いですが、低いギアに切り替えた後にはエンジン回転数が高くなります。
低いギアに切り替えた後、エンジン回転数が上がるまで半クラッチのみを使うのは避けたほうが良いです。
クラッチ板の摩耗が進みますし、日本のように減速する場面が多い国ではクラッチ焼けによってクラッチ板を壊す可能性があるからです。
どうしても低いギアに切り替えるのであればギアを切り替えた後にアクセルペダルを軽く踏みながら半クラッチを使ってエンジン回転数を合わせながら低いギアに切り替えるようにしましょう。
長い下り坂
長い下り坂ではブレーキが熱くなりすぎるのを防ぐために低いギアにしてエンジンブレーキを強くする必要があります。
どのギアを選べばよいかは今の速度やどれくらいの坂を走っているかによります。
エンジン回転計のレッドゾーンに入らないように注意しながら、一つずつギアを落としていくと良いでしょう。
あまりブレーキペダルを踏まなくても済むギアを選ぶようにしてください。
この時、アクセルペダルを踏む回数が増えると燃費に悪影響になるので注意します。
また、絶対にエンジン回転計のレッドゾーンに入らないように注意してください。
上り坂
今のギアではパワーが足りないと感じるなら上り坂にさしかかる前に低いギアに切り替えてしまうようにしましょう。
減速が最小限になります。
もしも上り坂の途中でパワーが足りなくなったらすぐに低いギアに切り替えるようにしてください。
遅れれば遅れるほど切り替え操作が難しくなります。
この時もレッドゾーンに入らないように注意します。
どれくらい低いギアを使うかはエンジンパワーや上り坂のきつさによります。
エンジンパワーが多いほど、緩い坂であるほど高いギアで大丈夫です。
ギアについてのまとめ
- ギアがあるのはエンジンの特性が理由
- 低いギアほどパワーがある
- 高いギアほど速度が出せる
- 発進は1速が基本
- ギアの切り替えはレッドゾーンに入らないように注意する