発進時にエンジン回転数を意識するのはダメという話

マニュアル車の運転で発進時にエンジン回転数をどれくらいにするかというのはよく話題に上がりますが、エンジン回転数を意識しすぎるのはあまり良くないことなんです。

発進時にエンジン回転数を意識すること

発進時にはエンジン回転数を低く保って発進する。

MT車の発進に関しての定番文句です。

ですがエンジン回転数にこだわりすぎるとギアが入りにくくなるなどトラブルの原因にもなってしまうんです。

発進がしにくいと感じる原因にもなるので、そこまで意識しないほうが良いです。

 

無駄ではないけれど

発進時のエンジン回転数を低く保つということはクラッチ板の摩耗を減らすというメリットがありますから、意味がないわけではありません。

とはいえ、発進時の振動が大きくなってしまったりしてクルマに対して良くない影響も多いんです。

発進時のエンジン回転数が高すぎるのはあまり良いことではありませんが、普通に発進する際のアクセルペダルの踏み込み量であればそれほど大きな問題にはなりません。

それに、発進時のエンジン回転数を低く保つことよりも大切なことがあるんです。

 

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発進時にエンジン回転数を意識するのがダメな理由

  • ギアが入りにくくなる
  • エンジン回転数が安定しない
  • クラッチジャダーの原因になる
  • クラッチに負担がかかる
  • アクセルペダルの踏み込み量のほうが大切

 

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ギアが入りにくくなる

一番のデメリットはこれでしょう。

エンジン回転数を意識しすぎてしまうと低いエンジン回転数から無理やり発進させることになり、発進時にエンジンの振動がとても大きくなります。

たかが振動と侮るなかれ。

実はその発進時のエンジンの振動によって2速ギアなどがギア鳴きを起こしたり、ゴリゴリとギアが当たるフィーリングになったりと大きなデメリットがあるんです。

また、振動によってシンクロ自体の摩耗も進むことになりMTの壽命にも影響が出ることも。

そういったこともあるので発進時にエンジン回転数を意識して下げようとするのは良くないんですね。

発進時の振動とギアの入りやすさについてはこちらの記事もオススメです。

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エンジン回転数が安定しない

エンジン回転数が低回転の状態では少ないアクセル操作でもエンジン回転数がすぐに上がってしまいます。

エンジン回転数が上がるとエンジン回転数が安定しやすくなり調節もしやすくなるのですが、アクセルペダルを踏んでないアイドリング状態のエンジン回転数だと微調整は非常に難しいです。

調整が難しいところを保つようにアクセルペダルとクラッチペダルを操作するのでエンストしやすくなったり、タイミングが合わなくて上手く発進できなかったりします。

 

クラッチジャダーの原因になる

クラッチ板が当たり始めるところ(半クラッチの始まりの部分)を使いすぎるとクラッチジャダーの原因になることがあります。

クラッチジャダーとは半クラッチの際にガタガタとクルマが揺れる現象で、発進がスムーズじゃなくなったり、振動によってクルマにダメージがある現象です。

エンジン回転数を抑えるように発進すると緩い半クラッチで発進しがちで、どうしてもクラッチ板が当たり始める部分を使う時間が長くなってしまいます。

すぐにジャダーにはつながらなくても、徐々にひどくなっていくことがあるので注意が必要です。

 

クラッチに負担がかかる

クラッチはエンジンからの力を摩擦によって力を伝えています。

エンジンというのはパワーの波があります。

MT車ではエンジンパワーの波や、クラッチ板の摩擦速度と摩擦の関係によってMT本体に大きな振動が伝わることがあるんです。

そこで、エンジンとMT本体の間にあるクラッチ板やフライホイールにはその振動を軽減するためにバネが仕込まれています。

バネはアクセル全開の状態でも完全に縮み切らないような余裕を持った設計にはなっていますが、低いエンジン回転数で長い時間振動を受け続けているとバネが折れることがあります。

ギアチェンジが早すぎて1000回転くらいで走らせてしまうような走り方が良くないのは勿論、日本のように発進加速が多い環境では振動が発生してしまうような発進の仕方もバネを傷める原因です。

バネを傷めるとジリジリ・カシャカシャという異音が発生したり、最悪の場合にはバネが折れてクラッチが切れなくなることも。

走っている時にもクルマがガクガクしやすくなったりするので注意が必要です。

 

アクセルペダルの踏み込み量のほうが大切

発進時にはエンジン回転数を意識するよりもアクセルペダルの踏み込み量を意識するほうが大切です。

勿論、エンジン回転数を低く保って発進したほうがクラッチ板の摩耗は少ないのですが、エンジン回転数が低いからと言ってアクセルペダルを強く踏みこんでしまうとクラッチ板の摩耗は進みます。

逆にエンジン回転数が高めでもアクセルペダルの踏み込み量が少なければクラッチ板の摩耗はそれほど多くはなりません。

ただ、エンジン回転数が高い状態で発進するとエンジンパワーが出やすくなってしまい、アクセルペダルを踏みすぎてしまった時にはクラッチ板の摩耗が進みやすいんです。

そういったこともあるので発進時にはエンジン回転数を低くたもって発進したほうがクラッチ板に優しいと言われるんですね。

また、エンジン回転数を低く保って発進しようとするとアクセルペダルの踏み込み量が少ない状態でクラッチを無理やり繋ぐ走り方になりやすいです。

現代で走っているクルマの場合、多少古めのクルマでもエンストしにくくなる制御がはいりますからエンストにはつながらないことが多いのですが、その分振動が多い発進になってしまいます。

(古いクルマでは制御自体が弱いので気づかないレベルです)

クラッチ板を長持ちさせるつもりが振動によってMT本体やクラッチ板を壊す原因になるんです。

ですから、発進時にはエンジン回転数よりもアクセルペダルの踏み込み量に注意してアクセルペダルを踏みすぎないように発進するのが大切なんですね。

 

アクセルを踏みすぎなければ高いエンジン回転数も問題ない

アクセルペダルさえ踏みすぎなければ発進時にエンジン回転数が多少高くなってしまっても大きな問題にはなりません。

アクセルペダルの踏み込み量が少なければ半クラッチにした時点でエンジン回転数が急激に落ちるからです。

逆にアクセルペダルの踏み込み量が多すぎると半クラッチにしてもエンジン回転数が下がってくれないのでクラッチ焼けなどのトラブルにつながります。

そこで、半クラッチ時には加速に必要なアクセルペダルの踏み込み量を目安にします。

半クラッチが終わった後にアクセルペダルがそのままの状態で思った通りの加速ができるくらいの量のアクセルを発進時に踏むと良いです。

もしもクラッチ板の摩耗を減らしたければ半クラッチ中には必要な量よりも少し弱めにアクセルペダルを踏んでおいて、半クラッチが終わった後にアクセルペダルを踏み足すようにします。

AT車は発進をアクセルペダルでコントロールしますが、MT車の場合にはアクセルペダルを加速に必要な量まで踏んでクラッチペダルで発進をコントロールするんですね。

 

 

 

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