坂道で渋滞していた時にMT車を運転する際の注意点についてです。
上り坂で渋滞にあった時の注意点
- AT車について行こうとしない
- 半クラッチでゆっくり登り続けない
- 止まった時はニュートラル
- 無理してシフトアップしない
- 無理せずサイドブレーキを使って発進する
基本的に坂道発進というのはクラッチ板に負担がかかってしまいます。
上り坂での渋滞では負担が大きめな坂道発進を繰り返さなくてはいけないので、出来るだけクラッチ板への負担を減らす必要があるんです。
クラッチ板に負担がかかるのは半クラッチをしている時と、低いエンジン回転数で無理やり走らせている時なのでそこを避けるように運転することが大切です。
また、AT車というのはクラッチ板がありませんからMT車とは走りのリズムが変わってきます。
あえてAT車について行かないことでクラッチ板に優しい運転ができるようになるんですね。
上り坂の渋滞での走り方
半クラッチをする時間を減らす
上り坂での渋滞はクラッチ板の温度が一番の問題になります。
坂道発進を繰り返すことから普通の渋滞よりもクラッチ板の温度が上がりやすいんです。
半クラッチを繰り返してしまうとその分だけクラッチ板の温度が上がってしまいます。
上り坂での渋滞においては半クラッチをする時間を減らすのが大切です。
AT車について行こうとしない
AT車はクラッチペダルがありませんから上り坂の渋滞でゆるゆると進んでいることが多々あります。
AT車もフルード(作動油・オイルのこと)の温度が上がるのでAT本体に良いことではないのですが、MT車よりも熱に強いのがAT車です。
そんなAT車の後ろにピタリとくっついて上り坂の渋滞を走っているとあっという間にクラッチ板が焼けてしまいます。
AT車とはペースが違うのだと考えて、出来るだけ半クラッチが少なくなる走り方をするようにしましょう。
例えば、AT車がゆるゆるとクリープくらいの速度で登っているのであればクルマ1台分くらい進むのを待ってから一気に距離を詰めるように運転します。
また、AT車を運転している時には前のクルマが少しでも動けば前進して距離を詰めますが、MT車の場合にはクルマ1台分以下の距離ならあえて止まったままにします。
そうすると半クラッチの回数を減らすことができるのでクラッチ板に優しいんですね。
そんな風に半クラッチの回数を減らすように走るためにAT車について行かないことが大切なんです。
とはいえ、あまりにも距離を開けすぎると後ろのクルマをイラつかせてしまいますからそのあたりも気を付けて運転してください。
無理してクラッチを繋がない
半クラッチの時間を減らそうとすると無理してクラッチを繋ぐことが多くなってしまいます。
半クラッチを減らすためにクラッチを完全に繋ぐようにするのは大切ですが、エンジン回転数が低いときには無理してクラッチを繋がないように注意してください。
確かに半クラッチを減らすことは大切ですが、低すぎるエンジン回転数で走るとクラッチ板やMT本体に悪影響があります。
エンジンにも良いことではないので少なくとも車体が振動するようなエンジン回転数で走ることは避けましょう。
半クラッチを使うべき時は使って、必要ないときには使わない。
この使い分けが一番大切です。
1速ギアをしっかり使う
低速では1速ギアを有効活用してください。
1速ギアで走っているとクルマがガクガクしてしまったりすることから、走りはじめたらすぐに2速ギアに入れたくなってしまうことがあるでしょう。
しかし、上り坂での渋滞の場合には1速ギアを適切に使うように意識してください。
2速ギアになるとエンジン回転数が低くなりますから、エンジンも振動しやすくなってしまいます。
また、速度が落ちてきたときにも2速ギアのままでは半クラッチが長くなりクラッチ板にも負担がかかります。
そうした運転の仕方はクラッチやエンジンに負担がかかることから1速ギアをしっかりと使って走りましょう。
1速ギアで走っている時には丁寧なアクセル操作が必要ですが、やってできないことはありません。
普段なら2速ギアのまま半クラッチで加速するような場面でも、1速ギアにシフトダウンしてから加速することも考慮するようにしましょう。
発進ではサイドブレーキを使う
サイドブレーキを使わない坂道発進をした場合、発進時に下がってしまうことがあります。
慣れると多少下がっても気にしないものですが、渋滞時にはできるだけ下がらないように意識しましょう。
下がっているということはクラッチ板への負担も増えてしまうからです。
MT車の渋滞に慣れてしまえばクラッチ板への負担も考えた運転ができるようになるのでそこまでシビアに考えなくて良いですが、慣れるまではサイドブレーキを使って下がらないように坂道発進することも大切です。
また、その方がエンジン回転数も安定させやすいのでクラッチ板への負担も少なくなります。
停止時には積極的にニュートラルにする
坂道での渋滞ではクラッチ周りの温度があがってしまいます。
渋滞なので当然クラッチペダルを踏む頻度も多くなります。
そうするとレリーズベアリングというクラッチを切るために必要なパーツの温度があがってしまいます。
レリーズベアリングの温度が上がると異音やクラッチが切れなくなったりする故障の原因です。
レリーズベアリングはクラッチペダルを踏んでいる状態では温度があがってしまいますから、必要がないときにはクラッチペダルから足を離すことが大切です。
渋滞では止まったらニュートラルにするように意識することも大切です。
もし1速ギアのシンクロの摩耗が気になるのなら、ギアを入れる時にクラッチペダルを踏んでから3秒待ってギアを入れるようにするとシンクロを使わずにギアを入れることができます。
一番怖いのはクラッチの温度
上り坂での走り方として大切なのはクラッチ板の温度を上げすぎないことと低いエンジン回転数で走りすぎないようにすることが大切です。
しかし、即故障につながりやすいのはクラッチ板の温度が上がりすぎた時です。
クラッチ焼けと呼ばれる現象で、クラッチ板の温度が上がって強烈な匂いがするようになりクラッチペダルから足を離しても半クラッチ状態になってしまったりします。
一瞬だけであれば匂いがすること自体はそこまで大きな問題ではありませんが、長時間残るような強い匂いがする時にはかなり温度が上がっているので注意が必要です。
クラッチ板が焼けた匂いが続くようであればどこか安全な場所にクルマを止めて数分間クラッチ板を冷やすことをオススメします。
また、クラッチが焼けた匂いが続いたときにはクラッチが滑っていないか注意して走行しましょう。
走っている際に半クラッチ状態が続いてしまったり、アクセルペダルを強く踏むと半クラッチ状態になってエンジン回転数が上がってしまった時にはクラッチが滑っている証拠です。
クラッチ板の温度を冷ませば復活する可能性もありますから、もし渋滞の後や激しい走りをした後にクラッチが滑ったと感じたらまずはクラッチ板を冷やしてからもう一度チェックしてみましょう。
冷やしても良くならない場合にはクラッチ交換も視野に入れることになります。
クラッチが滑っている状態で走り続けるとクラッチ周りの他のパーツも交換しなくてはいけないことになってしまい、修理費が高額になってしまうのでできるだけ早く整備工場で整備してもらうようにしてください。
上り坂での渋滞で大切なこと
上り坂での渋滞で大切なのはクラッチ板の温度を上げないようにすることと、エンジンが大きく振動する状態で走らせないこと、この二つです。
短い坂道での渋滞であればそれほど気にすることではありませんが、急な坂道だったり長い渋滞ではその二つに注意して運転しましょう。
とはいえ、あまりにも気を使って運転すると疲れてしまいますから、匂いだけには注意しながらあまり緊張せずに運転することも大切です。
もしも違和感のある匂いがした時にはクラッチ板の温度が上がっているのかもしれないので半クラッチの回数・時間を少し減らすように意識するとトラブルを避けることができます。