マニュアル車で下り坂を走るとき、どんな風に走るのが正解なのでしょうか?
下り坂を走るときにはシフトダウンが大切
まず、長い下り坂を走るときにはシフトダウンをすることが大切です。
下り坂でブレーキだけを使って速度調節を行っているとブレーキが熱くなりすぎて効かなくなってしまうことがあります。
そんな時にシフトダウンをするとエンジンブレーキが強くなり、ブレーキを踏まなくてもある程度強い減速ができるからです。
短い下り坂であればブレーキの温度はさほど上がりませんからシフトダウンをしなくても全く問題はありません。
むしろブレーキランプが点かないことで追突のリスクが発生することや、シフトダウンによってクラッチ・シンクロ(ギアの回転数を合わせる機構)を摩耗させることになるのでデメリットの方が大きいです。
シフトダウンをすることでブレーキパッドは減らなくなりますが、エンジンやMT本体に負担がかかってしまうんですね。
長い下り坂では適切にシフトダウンをして、短い下り坂ではシフトダウンをしないことも考えるようにしましょう。
エンジンブレーキとは?
エンジンブレーキというのはエンジン内部の抵抗によってクルマが減速する現象のことを言います。
エンジン内部の抵抗によってクルマが減速するのでブレーキに負担がかからない減速方法です。
エンジンブレーキはシフトダウンをしなくてもアクセルペダルから足を離すだけで効きます。
また、エンジン回転数が高くなるとエンジンブレーキが強くなります。
つまり、シフトダウンをするとエンジンブレーキが強く効くようになるんですね。
そういった理由があるので下り坂ではシフトダウンが大切なんです。
MT車で下り坂を走るときの注意点
- ブレーキを使いすぎないようにする
- シフトダウンはエンジン回転数に注意して行う
- シフトダウンでは半クラッチに注意
ブレーキを使いすぎないようにする
下り坂を走っている時にブレーキを使いすぎるとフェードやべーパーロックというブレーキトラブルが起きることがあります。
これはブレーキパッドやブレーキフルード(ブレーキオイル)が熱の影響で不具合を起こすことが原因です。
フェードやべーパーロックが起きるとブレーキの効きが悪くなったり、全く効かなくなったりしてしまうので危険です。
ブレーキの温度が原因なのでブレーキの温度が上がらないようにブレーキペダルを踏む頻度を減らすことでこうしたブレーキトラブルを防ぐことができます。
シフトダウンはエンジン回転数に注意して行う
シフトダウンを行うとその時の速度とギアに合わせてエンジン回転数が高くなります。
エンジン回転数が低ければ問題にはなりませんが、エンジン回転数の上限を超えてしまうとエンジンが故障する可能性が高くなってしまうんです。
エンジン回転数の上限はタコメーター(エンジン回転計)のレッドゾーン(赤い部分)が始まるところです。
シフトダウンする際にはエンジン回転数がレッドゾーンに入らない範囲でギアチェンジをしましょう。
タコメーターが付いていないクルマでは取扱説明書にシフトダウンが可能になる速度がギアごとに記載されています。
その数字を覚えるか、スピードメーターに印をつけるようにしておくと安全です。
とはいえ、下り坂でシフトダウンする場合にはレッドゾーン付近まで使うことはまずありません。
下り坂でそこまで強いエンジンブレーキが必要になることはないからです。
しかも、下り坂ではブレーキが熱くなるのを防げれば良いのでエンジンブレーキだけで減速する必要もないです。
下り坂でシフトダウンするときにはレッドゾーンまで余裕をもってシフトダウンをすることが大切です。
シフトダウンでは半クラッチに注意
シフトダウンをする時にはエンジン回転数が高くなります。
アクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数を高くしてあげられれば問題はありませんが、減速時にはブレーキペダルを踏んでいることからアクセルペダルを踏むことができません。
ヒール&トウなどの特殊な技術を使えば可能ですが、使えない場合には半クラッチを使ってエンジン回転数を合わせることになります。
その時には半クラッチの使い方に注意しましょう。
エンジンブレーキ状態とはいえ半クラッチを長く使うと意外とクラッチに負担がかかります。
場合によってはクラッチ板が熱で焼けてしまうことも。
とはいえ、半クラッチを短くするためにショックが出るようなクラッチ操作をしてしまうとクルマにも良くないですし、滑りやすい路面でクルマが不安定になる危険性もあります。
あまり強いショックが出ない範囲で半クラッチが長くなりすぎないように注意してクラッチ操作しましょう。
可能であればヒール&トウを使ったほうがクラッチ板には優しい運転になります。
どれくらいシフトダウンをすれば良い?
下り坂の傾斜に合わせたシフトダウンを行います。
下り坂ではブレーキペダルを踏む頻度を少なくできれば良いので、ブレーキペダルを常に踏まなくても速度を維持できるようなギアまでシフトダウンすれば大丈夫です。
つまり、ブレーキペダルを全く踏まなくても速度が上がらないようなギアを選ぶか、時々ブレーキペダルを踏めば速度を維持できるようなギアを選べば良いんです。
通常の下り坂では時々ブレーキペダルを踏めば速度を維持できるギアを選べば大丈夫です。
ただし、極端にきつく長い下り坂ではブレーキペダルを全く踏まなくても済むギアまでシフトダウンすることを第一に考えましょう。
勿論、レッドゾーンに入ってしまうのは困りますからレッドゾーンまで余裕がある範囲でシフトダウンをすることも大切です。
最近のクルマのブレーキは強いけれど
最近のクルマのブレーキはとても強いです。
熱に対しても十分な容量を持っているのでよほどのことがない限りブレーキトラブルになることはないでしょう。
とはいえ、整備状態によってはブレーキトラブルになりやすいこともありますからブレーキ周りの整備は適切に行うようにしてください。
ブレーキ周りの整備を適切に行った上で、下り坂では念のためブレーキペダルを踏む頻度を減らすことが大切です。