パドルシフトに種類があるのはなぜ?

パドルシフトと一言に言っても装着位置は何種類か存在します。

今回はそれぞれのメリットデメリットを解説します。

 

パドルシフトの種類

パドルシフトにはその取り付け方法によって3種類存在します。

 

ハンドル裏に装備されるタイプ

一番一般的なパドルシフトです。

ハンドル裏側に少し浮かせた形で板状のスイッチが装備されています。

ハンドルが回転すればハンドルと一緒にパドルシフトも回転します。

大抵の場合、右側のパドルがシフトアップ、左側がシフトダウンとなりますが、車種によっては左右どちらのパドルでも押してシフトダウン、引いてシフトアップという変則的な形式のものもあります。

 

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ステアリングコラムに装備されるタイプ

ウインカーレバーなどが付いているステアリングコラムにパドルシフトが装備されているタイプです。

ウインカーレバーと同様に位置は固定されたままなので、ハンドルを動かしてもパドルシフトの位置は変化しません。

フェラーリや日産GTRなどスーパーカーに多い形式です。

 

スイッチ式

ステアリングにスイッチとして埋め込まれているタイプです。

パドルスイッチと呼ばれることが多く、ステアリングの前面にスイッチが付いているタイプやステアリングの両面にスイッチが付いているタイプ、スポークのところに埋め込まれたパドルで引いてシフトダウン押してシフトアップするタイプなど様々です。

パドルシフトを装備する車種が増えた現在ではあまり採用されないタイプです。

 

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それぞれのメリットデメリット

ステアリング裏に装備されるタイプ

パドルシフトの使い勝手とハンドル操作などのしやすさがバランスされたタイプです。

ハンドル自体は多少握りにくくなることもありますが困るレベルではなく、パドルシフト自体も操作感が良いのが特徴です。

現在では一番多くの車種で使われている形式です。

ハンドルを回すと一緒にパドルシフトも回転することからハンドルを90度以上回したときにどちらがシフトアップでどちらがシフトダウンなのかわからなくなることがあります。

 

ステアリングコラムに装備されるタイプ

パドルシフトの操作性を重視したタイプです。

大抵の場合、パドルシフト自体が縦長になっていて多少ハンドルを切った状態でもパドルシフトを操作できるようになっています。

ハンドルと同時に回転しないことからハンドルを大きく回してもパドルシフトの操作に影響が出ないことが特徴です。

ただし、ハンドルと一緒に回転しないことからハンドル操作の邪魔になることも。

ウインカーレバーとワイパーレバーの間に十分な間隔が必要なのでスーパーカーなど一部車種にしか採用されません。

車種によってはパドルシフトの操作性とハンドルの操作性のバランスを良くするためにウインカーレバーなどをボタンに置き換えてしまう場合もあります。

 

スイッチ式

最もハンドル操作に影響が出にくいタイプです。

その反面、シフト操作自体は若干しにくくなっています。

特にハンドルを大きく回したときにはスイッチが極端に操作しにくくなってしまいます。

ただハンドル操作に影響が出にくい分、マニュアルモードで頻繁なシフト操作を想定しない車種とは相性が良いです。

スポーティなイメージが最も少ないタイプです。

 

パドルシフトに様々な種類がある理由

パドルシフトにこうした種類があるのは、そのメーカーがどういった状況を重視しているのかによります。

例えば、一般車ではハンドル操作量も大きく、ウインカーレバーなどを操作することも多いのでパドルシフト以外の操作性が良いハンドルと一緒に回転するタイプが使われます。

スーパーカーなど特定の状況で性能を追求したい車種ではパドルシフトの操作性が良いステアリングコラムに固定されたタイプを採用したがります。

落ち着いたグランドツアラー的な性格の強いクルマではスイッチ式が使われることも。

以前はスイッチ式が多かったですが、最近は販売数を増やすためにアピールしやすくスポーティなイメージに繋がりやすいハンドル裏に付くタイプのパドルシフトが多く採用されます。

このように、メーカーの思惑や操作性などの違いからどの種類を使うかが決まってきます。

 

レーシングカーでも環境によって変わるパドルシフト

レーシングカーでもその使われ方によってパドルシフトの形式が変わってきます。

ハンドルの持ち替えが一切ないF1ではハンドルと一緒に回転するタイプのパドルシフトが採用されています。

このタイプであればパドルシフト自体もコンパクトにでき、持ち替えが一切ないので操作性が最も良くなります。

WRC(世界ラリー選手権)車両の場合にはハンドル操作量が大きく、ハンドルの持ち替えも多く発生することからステアリングコラムに固定される形式のパドルシフトが採用されます。

ハンドルの操作性を確保するためにパドルシフトとハンドルの間は多く開けられていることからパドルシフトの操作性は良くありません。

また片手で操作できるようにパドルは片側にしかなく、片側のみでシフトアップとシフトダウンが行えるようになっています。

クルマによっては、ハンドルから距離が離れて操作しにくくハンドル操作自体もやりにくくなるパドルシフトではなく、シフトノブ自体をハンドルに近い位置に置くことでシフト操作とハンドル操作を両立しているクルマもあります。

このように使われる環境によって操作性で選ばれるのがパドルシフトですから、市販車ではどうしても妥協が必要となります。

市販車として最もバランスが良いのがハンドル裏に固定されたタイプなので、大半のパドルシフトはハンドル裏に固定されたタイプになります。

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